セントパトリックスデーのもう一つの特徴はシンボルカラーの緑色。この日は多くの人が緑色のものを身につけ、街は緑色に染まる。エンパイア・ステート・ビルディングのライトアップももちろん緑色。
日差しは高く強くなってきているもののまだ寒さの残るニューヨークだが、春の芽吹きの色を身につけると、心は自然に浮き立ってくる。筆者にとって、セントパトリックスデーは、春の陽気の訪れを間近に感じさせる祭の一つでもある。
さて、なぜこの日のシンボルカラーが緑色なのか。それは、アイリッシュバーの看板や、セントパトリックスデーの頃の街のいたるところで見られる図柄である、三つ葉のクローバーに由来するという。これはシャムロックと呼ばれ、マメ科のクローバーやウマゴヤシ、カタバミ科のミヤマカタバミなど、葉が3枚に分かれている草の総称だ。
聖パトリックは、432年にアイルランドに渡り461年に他界するまで、生涯をかけて国中を旅しながらキリスト教を広めたといわれるが、その際、この、クローバーに似たシャムロックを手に、その、3つの葉で1本をなす姿を民衆に示し、キリスト教の教義である「三位一体」を説いたといわれる。
この逸話からシャムロックは聖パトリックのシンボルとなり、国花となり、その色から国のシンボルともなったのだ。シャムロックは国中のいたるところに見られるため、アイルランドは「エメラルド・グリーンの島」とも呼ばれる。まさに緑の国なのだ。
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