「蟬」のぬけがらのこと。
【空蟬(上五)】
空蟬のいづれも力抜かずゐる 阿部みどり女
空蝉に雨水たまり透きとほる 篠原梵
空蝉のなかあはあはと風が吹く 鍵和田秞子
空蟬やいのち見事に抜けゐたり 片山由美子
空蟬を集めすぎたる家族かな 岡田由季
空蟬と分らぬほどの砕けやう 小川春休
【空蟬(中七)】
襖しめて空蟬を吹きくらすかな 飯島晴子
かりそめに空蝉を置く山河かな 齋藤愼爾
父の木とよぶ空蝉があまたの木 折原あきの
ふるさとにわが空蝉は突伏して 正木ゆう子
花とみまがふうつせみの形あり 中田剛
【空蟬(下五)】