【夏の季語】夜の秋

【夏の季語=晩夏(7月)】夜の秋

晩夏」にただよう秋の気配のこと。「秋」とあるが、夏の季語である。

「よるのあき」と5音で読むのが一般的だが、「よのあき」と4音で読ませる例もある。


【夜の秋(上五)】
夜の秋や写経に立つる筆の鋒 鷲谷七菜子
夜の秋のはや中天へ白鳥座 片山由美子

【夜の秋(中七)】
不肖なり夜の秋より習ひごと 中原道夫

【夜の秋(下五)】
乙女らにひとつの鏡夜の秋 飯田龍太
精ありて吾を呼ぶ岩夜の秋  佐藤鬼房
卓に組む十指もの言ふ夜の秋 岡本眸
膝に乗る黒猫の愚図夜の秋  坪内稔典
唇のつぼむ力も夜の秋  池田澄子
塩饅頭甘さもすこし夜の秋  長谷川櫂
我あらぬ職場をおもふ夜の秋   長谷川櫂
灯すや文字の驚く夜の秋 坊城俊樹
なつかしきこと多くなり夜の秋 小島健
水銀の玉散らばりし夜の秋 佐藤郁良
人ばかり映す姿見夜の秋  山口優夢
離職者が荷をまとめたる夜の秋 川原風人
ビリヤードボールつややか夜の秋 若林哲哉 

【ほかの季語と】
はゝきゞに夜の秋なる径はあり 吉岡禅寺洞

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