ハイクノミカタ

噴水に睡り足らざる男たち  澤好摩【季語=噴水(夏)】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: eye-2horikiri--1024x538.png

噴水に睡り足らざる男たち 

澤好摩


噴水の周囲のベンチに、うとうととしている男性たちが、ひとりならず、いる。そうした光景に寓話性を見出しうるのは、やはり太陽が最も高い位置にある時間帯だろう。噴水は滔々と吹き出しつづけており、「男たち」は昏々と眠りつづけている。気怠い暑さのなかの単調な水の流れと、おそらく昨日と代わり映えしない「男たち」の日常。その対比によって、本当ならば誰の目にも止まることのない「彼ら」を、この世界のなかで欠かすことのできない、現代の不条理な道化たちへと変貌させている。『返照』(2020)より。(堀切克洋)



【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 鳥を見るただそれだけの超曜日 川合大祐
  2. くれなゐの花には季なし枕もと 石川淳【無季】
  3. 蟷螂にコップ被せて閉じ込むる 藤田哲史【季語=蟷螂(秋)】
  4. アルプスの雪渓見えてくる離陸 稲畑汀子【季語=雪渓(夏)】
  5. カルーセル一曲分の夏日陰  鳥井雪【季語=夏日陰(夏)】
  6. 細長き泉に着きぬ父と子と 飯島晴子【季語=泉(夏)】
  7. 結婚は夢の続きやひな祭り 夏目雅子【季語=雛祭(春)】
  8. あれは伊予こちらは備後春の風 武田物外【季語=春の風(春)】

あなたへのおすすめ記事

連載記事一覧

PAGE TOP