花言葉なき一生を水中花
杉阪大和
「水中花」というと、どうしてもフェイクで安っぽいイメージがつきまとうが、一生枯れることのないその徒花にただよう淋しさを、掲句はうつくしく詠みとめている。おそらく、去年も、一昨年もテーブルの同じ場所に、同じ角度で、同じ色で飾られていたのだ。来年も、再来年もきっとそう。おそらく、その平凡さと変化の乏しさに作者が自分に重ねている部分もあり、それゆえにいくばくかの反骨心というか、水中花が逆に花言葉を獲得してしまいそうなポジティブさまで、感じられる。第二句集『思郷』(2019)より。
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