【春の季語=晩春(4月)】子猫
晩春に生まれた猫の子のこと。
早春に発情期を迎え(=「猫の恋」)、身ごもった猫は晩春に子を産む。
飼い猫、捨て猫、野良猫などがあり、その幼い姿は可愛いだけでなく哀れみを誘うことも。
「仔」を使って「仔猫」と表記することもある。
また、「猫の子」とも。
【子猫(上五)】
子猫愛して志那文学の教授たり 宇田零雨
子猫ねむしつかみ上げられても眠る 日野草城
わが仔猫神父の黒き裾におる 平畑静塔
【子猫(中七)】
もう既に子猫が申す好き嫌ひ 有馬朗人
眉目悪しき子猫一疋残りけり 大西紅女
てのひらの仔猫けむりのやうにゐる 富川明子
野球帽に入れて子猫を隣家まで 池田澄子
かたまりより仔猫の形摑み出す 小川軽舟
石拾ふやうに子猫を拾ひけり 吉田哲二
引越の最後に子猫仕舞ひけり 未来羽
【子猫(下五)】
スリッパを越えかねてゐる仔猫かな 高浜虚子
明るさの這ひくる方へ仔猫這ふ 中村草田男
江の島の賑やかな日の仔猫かな 遠藤由樹子
スポイトにしがみつきたる子猫かな 金子敦
どの名前呼んでも寄ってくる子猫 神野紗希