季語・歳時記

【春の季語】虚子忌(虚子の忌)

【春の季語=晩春(4月)】虚子(虚子の忌)

俳人・高濱虚子の忌日。「仏生会」(お釈迦様の誕生日)と同じ、4月8日である。

正岡子規が立ち上げた「ホトトギス」の継承者として、明治・大正・昭和の俳句を牽引した虚子は、1959年に脳溢血のため、神奈川県鎌倉市由比ガ浜の自宅で死去した。享年85歳。生涯に20万句を超える俳句を詠んだとされる。

椿」を愛した虚子の法名が「虚子庵高吟椿寿居士」であることから、この日は「椿寿忌」とも呼ばれる。

墓は鎌倉の寿福寺にあるので、この日には毎年、法要が行われているが、関西ともゆかりの深い(孫の稲畑汀子は芦屋に邸宅を構え、同地には2000年に虚子記念文学館が設立された)虚子については、毎年10月14日に「西の虚子忌」が、比叡山横川に建つ虚子之塔で催される。


【虚子忌(上五)】
虚子忌まで花の十日や愛しきやし 藤田湘子
虚子の忌の風うしろからうしろから 宇多喜代子
虚子の忌の大浴場に泳ぐなり 辻桃子
虚子の忌の花食ふ鳥を叱りをり 大石悦子
虚子の忌や百鬼夜行の美しきこと 眞矢ひろみ
虚子の忌の波なす丘に立ちにけり 笹尾照子

【虚子忌(中七)】
虚しきが故に虚子忌に参ずなり 京極杞陽
年々の虚子忌は花の絵巻物 今井つる女
冷えつゝも虚子忌とは暖かきもの 高木晴子

【虚子忌(下五)】
鎌倉に遠き夫婦に虚子忌くる 高野素十
朝の湯に身を浄めたる虚子忌かな 波多野爽波
先生はいつもはるかや虚子忌来る 深見けん二
まみえたることなき虚子の忌なりけり 行方克巳
浅き川なら足濡らす今日虚子忌 清水径子
昼点いて白熱灯や虚子忌なる 蜂谷一人

【ほかの季語と】
虚子の忌の蚯蚓はな屑まみれなる 南 うみを
虚子の忌の黴のよろしきチーズかな 大島雄作


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