季語・歳時記

【春の季語】蟻穴を出づ

【春の季語=仲春(3月)蟻穴を出づ

啓蟄」のころに地中に籠っていた「」たちが、巣穴から出てくること。

長い音数の季語であるため、わりあい自由なかたちで用いられることが多い。

地虫穴を出づ」や「地虫出づ」と虫を特定しない場合もある。


【蟻穴を出づ(上五)】
蟻出るやごうごうと鳴る穴の中 村上鬼城
蟻穴を出でておどろきやすきかな 山口誓子
蟻穴を出づる尻のみな傷み 皆吉爽雨
蟻穴を出でておもひおもひの道撰ぶ 福永耕二
穴出でて帰らぬ蟻もありしとふ 能村研三
穴出でし蟻大仏の膝登る 本玉秀夫
蟻穴を出て供物のにほふ處かな 中原道夫
蟻穴を出づひとつぶの影を得て 津川絵理子

【蟻穴を出づ(中七)】

【蟻穴を出づ(下五)】


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【春の季語】鷹鳩と化す
  2. 【冬の季語】熊
  3. 【冬の季語】忘年
  4. 【秋の季語】菊/菊の花 白菊 黄菊、大菊、小菊、初菊、厚物咲、懸…
  5. 【春の季語】春塵
  6. 【夏の季語】夏至
  7. 【秋の季語】草紅葉/草の錦
  8. 【春の季語】椿

おすすめ記事

  1. 【春の季語】初桜
  2. 笠原小百合の「競馬的名句アルバム」【第8回】2003年 天皇賞・秋 シンボリクリスエス
  3. 露地裏を夜汽車と思ふ金魚かな 攝津幸彦【季語=金魚(夏)】
  4. 指入れてそろりと海の霧を巻く 野崎憲子【季語=海霧(夏)】
  5. 【書評】佐怒賀正美 第7句集『無二』(ふらんす堂、2018年)
  6. 鳥の巣に鳥が入つてゆくところ 波多野爽波【季語=鳥の巣(春)】
  7. 俳句おじさん雑談系ポッドキャスト「ほぼ週刊青木堀切」【#1】
  8. 一天の玉虫光り羽子日和 清崎敏郎【季語=羽子板(新年)】
  9. 野分吾が鼻孔を出でて遊ぶかな 永田耕衣【季語=野分(秋)】
  10. ライターを囲ふ手のひら水温む 斉藤志歩【季語=水温む(春)】

Pickup記事

  1. 「パリ子育て俳句さんぽ」【10月1日配信分】
  2. 【冬の季語】聖夜劇
  3. 暮るるほど湖みえてくる白露かな 根岸善雄【季語=白露(秋)】
  4. 【連載】新しい短歌をさがして【3】服部崇
  5. 皮むけばバナナしりりと音すなり 犬星星人【季語=バナナ(夏)】
  6. よき椅子にもたれて話す冬籠 池内たけし【季語=冬籠(冬)】
  7. 【#19】子猫たちのいる場所
  8. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第61回】 石鎚山と石田波郷
  9. 【夏の季語】涼し
  10. 命より一日大事冬日和 正木ゆう子【季語=冬日和(冬)】
PAGE TOP