【夏の季語=晩夏(7月)】梅干(梅干し)
「梅雨」の前後に実った「青梅」または完熟梅を収穫して干したもの。
「干梅」がまさに干されている途中の梅、という感じがするのに対し、「梅干」が食用として(完成して)供されるものというイメージが強い。そのため、他の季節で(季語としてではなく)詠まれることも多い。
*一般には「梅干し」と「し」を送るが、俳句では「梅干」と送り仮名を詰めることも多い。
【梅干(上五)】
梅干の中にまぎれて小石哉 正岡子規
梅干の稍々皺出来て干されけり 高浜虚子
【梅干(中七)】
また思ふ梅干の種噛みながら 秦夕美
【梅干(下五)】
性格の不一致のままの梅干 福井ちゑ子
【自由律】
母が亡き父の話する梅干のいざこざ 河東碧梧桐
【ほかの季語と】
三寒の梅干口に意地通す 高瀬恵子
月ヶ瀬の梅干しを喰み二月尽 細見綾子
梅干をごはんの上に雲の峰 黒田杏子
大粒の梅干ひとつ暑気払ひ 福田甲子雄
梅干を噛んで出直す風の盆 鳥居美智子
まん中に梅干を置く文化の日 水口佳子
梅干の種口中にふゆがすみ 鈴木鷹夫