【冬の季語=晩冬(1月)】寒鯉
「寒中」にとれた鯉。歴史的仮名遣いだと「かんごひ」。
鯉は水温が16度を切る晩秋までは旺盛な食欲を見せ、寒い冬を越すためにでっぷりと太って過ごす。
それが寒に入るころには、適度に脂肪も落ちて、新陳代謝もストップするために、美味として珍重される。
夏場の鯉の「洗い」なども美味しいが、冬場の「鯉こく」なども体があたたまる。
【寒鯉(上五)】
寒鯉を抱き余してぬれざる人 永田耕衣
寒鯉を雲のごとくに食はず飼ふ 森澄雄
寒鯉の頭のなかの機械かな 八田木枯
寒鯉の鰓より炎なせるもの 高野ムツオ
寒鯉をつぶして父の待つ信濃 伊藤伊那男
寒鯉の淋しらの眼のいま開く 生駒大祐
【寒鯉(中七)】
尾へ抜けて寒鯉の身をはしる力 加藤楸邨
別の桶にも寒鯉の水しぶき 飯田龍太
胴に鰭寄せて寒鯉動かざる 山西雅子
黄金の寒鯉がまたやる気なし 西村麒麟
【寒鯉(下五)】