【夏の季語=三夏(5-7月)】薫風
「風薫る」の名詞化したもの。
緑の木々や青芝をわたって、すがすがしく匂いたつような夏の気持ちのいい風のことである。
【薫風(上五)】
薫風や硯も墨もかくは欠け 久保田万太郎
薫風のみちのくはみな翁の地 森澄雄
薫風や祭の町に古書を買ひ 伊藤京子
薫風といふ字立派に一書簡 宇多喜代子
薫風や我が子全員高齢者 竹村翠苑
薫風や今メンバー紹介のとこ 佐藤智子
薫風や犬乗せて来る乳母車 町田無鹿
薫風のなか血の沸いて老女たち 佐々木紺
【薫風(中七)】
一掬の薫風母に吸はせたし 鷹羽狩行
【薫風(下五)】
寝れば広きわが胸を打つ野の薫風 香西照雄
歴史には残らぬ男薫風に 相馬遷子