【夏の季語=晩夏(7月)】蚊帳吊草
かやつりぐさ。道端や田畑にも出現する雑草の一種。
その昔、この植物の茎を引き裂いて蚊帳を吊ったような四角形を作る子供の遊びがあったことに基づく。
背丈は30cm程度、大きいものでも50cmくらい。
茎も細く、穂も遠目にはあわあわとして覚束ない。
【蚊帳吊草(上五)】
蚊帳吊草早く昔になればいい 齋藤愼爾
蚊帳吊草辿れば少女の骨の闇 冬野虹
蚊帳吊草用なきもののたくましき 西村和子
蚊帳吊草繃帯の子に憧れて 正木ゆう子
【蚊帳吊草(中七)】
淋しさの蚊帳吊草を割きにけり 富安風生
真珠湾みる蚊帳吊草を踏み立ちて 田川飛旅子
仔牛の目かやつり草にかこまれて 藤田湘子
昭和日暮の蚊帳吊草を吊る遊び 柿本多映
脛痒く蚊帳吊草の中にゐる 中原道夫
【蚊帳吊草(下五)】
【その他の季語と】
向脛に蚊帳吊草の花の露 高濱虚子
【短歌】
揺れなびく蚊帳吊草を刈りながら若くはなしと腰伸ばしたり 芹澤香代子