寄ればまた残る寒さを言ひ合へり 伊藤伊那男【季語=残る寒さ(春)】

寄ればまた残る寒さを言ひ合へり

伊藤伊那男

冬至(12月22日)から立春(2月4日)までの44日間が過ぎ、春はもう目の前ですね。明日からの寒さは「余寒(残る寒さ)」になります。

昼の時間がだんだん伸びてくることは、古代から世界中の人間にとって共通の歓びでした。世界中で冬至を祝う行事が残っています。クリスマスも元々、西洋においての冬至祝いがルーツとか。

子供のころは、年賀状に「新春のお慶びを申し上げます」と書くことに、「1月に春とは…言い過ぎじゃない?」と思っていましたが、年明け後、だんだん陽射しの暖かさを感じ、水仙や臘梅が咲くのを見ると、春を寿ぐ気持ちが自然に湧いてきます。

気象庁では四季を、冬 (12~2月)・春 (3~5月)・夏 (6~8月)・秋 (9~11月)と分類していることもあり、2月は「真冬」だと考えていました。俳句を始めて、旧暦の春夏秋冬に親しんでからは、朝晩気温が氷点下でも、北風が強くても、冬至が過ぎたら気持ちは前向きに。「立春」ともなれば、春の訪れに深く納得し、私自身が大自然の一部であることを自覚し、細胞ひとつひとつが呼び起こされる感覚を覚えるようになりました。

掲句は伊藤伊那男さんによる句(2012年作・句集「然々と」収録)。

私の所属する銀漢俳句会は、この師を昨年11月に失いました。2月1日に偲ぶ会が執り行われ、各地から集まった結社の仲間や伊那男さんを慕う関係者の方々と思い出を語り合いました。ひとつの節目が打たれ、季節も移り変わりますが、「まだ寒いね」に「まだ淋しいね」の意味も含まれる日々は、もうしばらく続きそうです。

白井飛露



【執筆者プロフィール】
白井飛露(しらい・ひろ) (本名・聡子)
1977年、千葉県野田市生まれ。流山市在住。2010年「かぞの会」参加、2012年「大倉句会」参加。「玉藻」「銀漢」同人。俳人協会会員。
旅行雑誌の編集プロダクション、ゴルフ雑誌出版社勤務などを経て、(株)ウインダムにて展覧会や美術展のPRに携わる。一般社団法人10000日記念日代表。
2025年11月に初句集『輪郭』(朔出版)上梓。



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