
【春の季語=三春(2-4月)】凧
「たこ」。かつては「いか」ないしは「いかのぼり」と呼ばれていたことから、そのように読ませることもある。「凧」は国字。
正月の風物詩としておなじみの遊具であるため、歳時記では「春」に分類されている(かつては正月=春の訪れであったため)。

鎌倉時代までは凧の日本名はなく、中国名の紙鳶(しえん)、紙老鴟(しろうし)と呼ばれていて、室町時代になってから「いかのぼり」「いか」と呼ばれるようになった。落語「初天神」にも見られるように、江戸時代には、町人文化のなかで流行となり、大の大人が喧嘩をしたり、大名行列に落ちるなどけが人や死者まで出る騒ぎになったこれに対応するため、幕府は、明暦元年(1655年)「町中にてイカノボリを揚げる事を禁止する」という禁止令を出したという。当時に「これは、イカではなくタコである」という冗談で回避しようとしたことから名前が変わったとされる。蕪村の〈凧きのふの空のありどころ〉は有名な一句。
江戸の凧揚げに由来するイベントもあり、新潟の三条では「三条凧合戦」が毎年9月に行われている。
【凧(上五)】
凧なにもて死なむあがるべし 中村苑子
凧一つ大利根の空がらんどう 今村博子
【凧(中七)】
【凧(下五)】
夕空や日のあたりたる凧一つ 高野素十