
大根の花供へある仏かな
為成菖蒲園
大根の花は、畑に残されたものだけが咲かせる花です。
本来は食べられるはずだった大根が、その役目を離れて白い小さな花をつけています。その花が、仏に供えられています。
この花は、いわゆる供花のような華やかさはありません。土の匂いをまだ残しているような、身近で素朴な花です。
誰かがその花を手に取り、ここに供えた。
そのささやかな行いが、そのまま仏へと届いているように感じられます。
言葉を尽くした祈りというよりも、日々の中で目にしたものを、そのまま差し出すような自然な気持ちが感じられます。
大根の花であるからこそ、そのやりとりは形式を越えて、飾らず、静かでやさしい。
供えられた花と、それを受ける仏とのあいだに、何かが通い合っています。
静かな往復のなかに、仏がふと立ち現れて来るような一句です。
『為成菖蒲園句集』(1976)為成菖蒲園句集刊行会 所収
(菅谷糸)
【執筆者プロフィール】
菅谷 糸(すがや・いと)
1977年生まれ。東京都在住。「ホトトギス」所属。日本伝統俳句協会会員。

【菅谷糸のバックナンバー】
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