
【秋の季語=仲秋(9月)】木賊
とくさ。日本では北海道から本州中部にかけての山間の湿地に自生するが、観賞用などの目的で栽培されることも多い。音楽家の瀧廉太郎は身だしなみとして常々トクサで爪を磨いていたとされるが、別名が歯磨草というように、かつては歯磨きに使用していた。〈ものいはぬ男なりけり木賊刈り〉(蓼太)のように「木賊刈る」が秋の季語とされてきたが、「木賊」だけでも季語として使われるようになった。能には男親と子の再会をテーマにした「木賊」という物狂の曲がある。

俳句では〈ニコよ!青い木賊をまだ採るのか〉(横山白虹)という感嘆符つきの変わった句が知られている。「ニコは娘谷子の愛称なり」という説明がついており、当時の少女らしく花などを摘むのではないところが、面白い。
【木賊(上五)】
木賊刈まとひしもののありあはせ 八田木枯
木賊刈るみな懸命に生きて来し 酒井多加子
【木賊(中七)】
南無南無と木賊の青きまま燒べて 中原道夫
【木賊(下五)】
築山を少し崩して木賊刈る 関口ゆき
にはとりの歩いてゐたる木賊かな 岩田奎