【春の季語=晩春(4月)】亀鳴く
藤原為家の「川越のをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀のなくなり」が典拠とされている。
【亀鳴く(上五)】
亀鳴くを聞きたくて長生きをせり 桂信子
亀鳴くや一升瓶に手が伸びる 成田千空
鳴きし亀誰も聞いてはをらざりし 後藤比奈夫
亀鳴くや書きはじめたる写生文 稲畑汀子
亀鳴くや花は剪られて捨てられて 田中裕明
亀鳴くや男は無口なるべしと 田中裕明
亀鳴くや行きしことなき本籍地 小川軽舟
亀鳴くや書店に並ぶ幸福論 栗山麻衣
亀鳴くや眠たさうなる亀石に 中村遥
亀鳴くや沖に時価総額の船 田島健一
亀鳴くや易者の使ふ竹の棒 常原拓
【亀鳴く(中七)】
白寿まで来て未だ鳴く亀に会はず 後藤比奈夫
煩悩の一つの亀の鳴きにけり 長谷川櫂
【亀鳴く(下五)】
猿負けて蟹勝つ話亀鳴きぬ 雪我狂流
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】