【秋の季語=三秋(8月〜10月)】鶏頭/鶏頭花
俳句では、まずもって子規の〈鶏頭の十四五本もありぬべし〉で知られる花。
鶏のトサカを思わせるかたちから、そのように呼ばれている。赤が一般的ですが、黄や白の花もある。
まれに「鶏頭花」として用いられることもある。
歴史的仮名遣いも「けいとう」。
【鶏頭(上五)】
鶏頭のやうな手を上げ死んでゆけり 富澤赤黄男
鶏頭を三尺離れもの思ふ 細見綾子
鶏頭の濡れくづれたり暗き海 安東次男
鶏頭や仏間に入りし風死んで 能村登四郎
鶏頭の下鶏頭を抜きし穴 川崎展宏
鶏頭に鶏頭ごつと触れゐたる 川崎展宏
鶏頭をこづいて友のきたりけり 矢島渚男
鶏頭やおゝと赤子の感嘆詞 矢島渚男
鶏頭にざらついてゐる日差しかな 井上弘美
鶏頭のどこ掴みても剪りがたし 河内静魚
鶏頭の短く切りて置かれある 岸本尚毅
鶏頭の俄かに声を漏らしけり 曾根 毅
鶏頭花ポテトサラダをつくりけり 藤田哲史
【鶏頭(中七)】
犬がゐて鶏頭の地のやや濡るる 桂信子
衰へし犬鶏頭の辺を去らず 桂信子
朝の舟鶏頭の朱を離れたり 大串章
火に投げし鶏頭根ごと立ちあがる 大木あまり
ヒト科ヒトふと鶏頭の脇に立つ 攝津幸彦
【鶏頭(下五)】
身のなかに種ある憂さや鶏頭花 中村苑子
水飲んで眼の渇く鶏頭花 柘植史子