【夏の季語】桐の花

【夏の季語=三夏(5月〜7月)】桐の花

【ミニ解説】

桐は、ノウゼンカズラ科のキリ属に分類される広葉樹。

奈良時代から平安時代にかけて中国から日本に伝えられた。

春から初夏にかけて釣鐘型をした薄い紫色の上品な花を枝先に咲かせる。

季語としては「花桐」「桐咲く」としても使う。

「桐の実」は秋の季語。


【桐の花(上五)】
桐の花湯上りの子は栗のように 古沢太穂
桐の花ひびくものみな地に沈む 桂信子
桐の花姦淫の眼を外らしをり 上田五千石
桐の花わが老いしこと母知らず 伊藤政美
桐の花遠くばかりがよく見えて 鹿野佳子
桐の花会ひたき人のみな来る日 西村麒麟

【桐の花(中七)】
もし呼んでよいなら桐の花を呼ぶ 高梨章
捨猫や桐の花ふる生垣に 樫本由貴

【桐の花(下五)】
天領の境にさくや桐の花 河東碧梧桐
癌病めばものみな遠し桐の花 山口草堂
校長のかはるうわさや桐の花 久保田万太郎
電車いままつしぐらなり桐の花 星野立子
誕生日午前十時の桐の花 平井照敏
いつも誰か杖休めをり桐の花 古賀まり子
日光に底力つく桐の花 飯島晴子
はろかなるものに昨日と桐の花 岡本眸
なつかしき遠さに雨の桐の花 行方克巳
山々に麓ありけり桐の花 小島健
青空の名残のやうな桐の花 岩淵喜代子
自転車に乗ればひとりや桐の花 森賀まり
逢はぬ間に逢へなくなりぬ桐の花 中西夕紀


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