【夏の季語=晩夏(7月)】帰省
「夏休み」の休暇を利用して、ふるさとへ帰ること。
帰省シーズンとなる時期は、現在の8月中旬(初秋)ではあるが、「夏休み」という語に準じて、夏の季語とされることが多い。
帰省する子供のことを「帰省子」ということもあった。
【帰省(上五)】
帰省してその夜月の出遅くあり 波多野爽波
帰省子に石鹼淡く減りゆきぬ 八田木枯
帰省子に真っ先に来る海老フライ 岡田耕治
帰省子を待つ地球儀とギターかな 黛まどか
【帰省(中七)】
諸共に帰省すれども相逢はず 高濱虚子
畔火進む帰省の電車遅ければ 香西照雄
【帰省(下五)】
桑の葉の照るに堪へゆく帰省かな 水原秋櫻子
さきだてる鵞鳥踏まじと帰省かな 芝不器男
愉快な彼巡査となつて帰省せり 千原草之
ぐんぐんと山が濃くなる帰省かな 黛執
潮騒に耳あづけゐる帰省かな 久重凜子
泡立たぬ歯磨き粉あり帰省する 小林鮎美
【ほかの季語と】
帰省してなつかしき雨蜘蛛の囲に 京極杞陽
鬼やんま帰省の土産かすめ飛ぶ 大串章