【冬の季語】氷

【冬の季語=仲冬-晩冬(12月ー1月)】氷

気温が低下してくると、自然のなかにある水分も凝固して「氷」となる。

歴史的仮名遣いだと「こほり」。動詞で「氷る」として用いることもあり、また「氷上」などと漢語で使われることもある。

とくに軒下などから縦に凍ったものが「氷柱」。凍った滝は「凍滝」と呼ばれる。

暦の上で春になっても見にする氷は「春氷」。池などにうっすら貼った氷は「薄氷」と呼ぶ。「浮氷」もこれに同じ。

北の大地に到来する「流氷」も春の季語である。

氷水」は夏の季語で「かき氷」のことである。


【氷(上五)】
朝の氷が夕べの氷老太陽 西東三鬼
氷上の一児ふくいくなる暮色 飯田龍太
厚氷より声ありき黙示録 鷹羽狩行
氷上の暮色ひしめく風の中 廣瀬直人
氷上と氷中同じ木のたましひ 板倉ケンタ

【氷(中七)】
馬叱る声氷上にありにけり 高浜虚子
聳えゐて氷壁に翳まぎれなし 鷲谷七菜子

【氷(下五)】
カナリヤの声がよすぎて氷張る 秋元不死男
死なさじと肩つかまるゝ氷の下 寺田京子
安全に歩くことのみ氷上は 稲畑汀子

【ほかの季語と】
びびびびと氷張り居り月は春 川端茅舎
鴛鴦(をし)あゆむ氷の厚きところかな 宇佐美魚目
さげて来し鱈に氷りし尾鰭かな 山田真砂年


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