【新年の季語】松過ぐ

新年の季語(1月)】松過ぐ

松過」を動詞としてひらいた形。「松の内」が終わり、平常へと戻ることに感慨がこもる。


【松過ぐ(上五)】
松過ぎし師の家に飢満たしをり 細川加賀
松過ぎぬ砲車轣轆と夜半を過ぎ 中島斌男
松過ぎて教師に戻る夜の日記 星野麥丘人
松過ぎてより寵愛の烏賊徳利 後藤比奈夫
松過ぎてどこにでもゐさうな夫婦 小山正見
松過ぎて夜汽車欲しがる体あり 櫂未知子

【松過ぐ(中七)】
悲しみもありて松過ぎゆくままに 星野立子
主婦のひま松過ぎし夜の琴鳴らす 及川貞
逢はざりしみじかさに松過ぎにけり 上田五千石
折鶴のふつくらと松過ぎにけり 峯尾文世

【松過ぐ(下五)】
畑道まがる日和や松過ぎぬ 渡辺水巴

【その他の季語と】
人の顔ふたたび寒く松過ぎぬ 井沢正江
松過ぎてもとの鴉に戻りをり 稲垣いつを


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