前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。
また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」は、3月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。お待ちしてます!
コンゲツノハイク 2025年3月
(2024年2月刊行分)今月の参加結社☞「秋草」「伊吹嶺」「円虹」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「河」「銀化」「銀漢」「澤」「秋麗」「青山」「鷹」「橘」「都市」「南風」「濃美」「ふよう」「ホトトギス」「街」「森の座」
「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年3月号(通巻183号)>
探梅のきれいな水をまたぎゆく 山口昭男
終身雇用年功序列浮寝鳥 渡辺一二三
この店のこの席けふも冬の蠅 木村定生
思ひ出のやうに綿虫やつて来る 高橋真美
戻りきし人に雨きく炬燵かな 松田晴貴
海山に酒を垂らさむ裕明忌 対中いずみ
日めくりの明日透けたる関東煮 舘野まひろ
「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年2月号(通巻320号)>
筆先の曲がりて乾く小春かな 河原地英武
音冴ゆる小さき土鈴の薬売り 栗田やすし
あやされて赤子泣きだす報恩講 野島秀子
十三夜椅子に人形座らせて 加藤剛司
羊羹の厚き一切れ冬に入る 野津洋子
北行きのバス待つ列や吾亦紅 本庄鉄弥
イーゼルを立てて落葉の中にゐる 柴田洒落
「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和7年3月号 第363号>
渋柿の渋抜く出湯の大袋 串間麻衣
おでん酒囲む肩書なき同士 髙田繁
言の葉の冬日の如き母なりし 松木雅子
おひねりの飛んで夜寒の村歌舞伎 池沢みえ
合掌の母月光に身をまかす 宇佐美京
ふくよかに薄日をふふむ冬の薔薇 前田登美子
告白はポインセチアの並ぶ頃 高木ゆかり
「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年1・2月号(第65号)>
羅にあおい魚をとき放つ 故 渡辺のり子
菊枕ここより遠野物語 三好つや子
身の内の火球をさらう野分かな 高木水志
あざむけり舌十五夜の明るさで 佐々木宏
魂のまだ戻らない案山子かな 小松敦
こほろぎの髭検索の履歴かな 木下ようこ
月光のあまねくあをく雑居ビル 和緒玲子
「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年2月号(通巻1142号)>
梟の首めぐらする去年今年 山尾玉藻
コロッケがぞくぞく揚がる雪催 大山文子
星々の尖れる葱を引きに出し 蘭定かず子
牛の顔動かし難し返り花 湯谷良
枯蓮のたふれきらざる形へ風 山田美恵子
ささくれし椋の肌を六つの花 坂口夫佐子
丹の橋に月の零しし銀杏の実 今澤淑子
「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年1月号(通巻794号)>
銀山の盛衰語る息白し 森田純一郎
明石の門しぐれ淡路の晴れ渡る 平田冬か
わが身体透き通りさう十三夜 村手圭子
どんぐりを踏みつつパリをめぐりけり 峰村ひさ子
珈琲の湯気立つかつて立ち会ひ場 北浜ゆみ
秋霖の間なく雪とはなる峠 景山みどり
JALマーク冬青空を過りけり 荻野隆子
「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<第54巻第3号(通巻580号)>
白鳥の素性明かさぬ羽根の白 粥川青猿
追憶は折れ線グラフ寒北斗 江波戸明
脚たたむ骸ころがる冬日向 松尾一子
風花やロートレックの裾捌き 脇本文子
畳替え草に眠りし夢を見る 平 操
歩を増して関節笑う冬隣 浜谷若菜
凍滝の見せぬ覗けぬ胸の内 石森スエ子
「河」(主宰=角川春樹)【1958年創刊・東京都新宿区】
<2025年2月号(通巻795号)>
冬ざれやものの果てなる日のひかり 角川春樹
軍艦の固まつてゐる寒さかな 小島健
匿名の朝が来てゐる初鴉 川越さくらこ
舌打ちのやうに雪降る開戦日 宮京子
隣席の光は新書冬はじめ 田中まぎぬ
俎板を血で汚したる聖夜かな 山名凌霄
人称の揺らぐ子を抱く冬薔薇 荻原多香子
「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年3月号(通巻318号)>
これしきの葱を袋に立たせ得ず 東麗子
とつくりの首に金接ぎ由紀夫の忌 中村堯子
木乃伊取りの木乃伊の集ふ炬燵かな 織田亮太朗
慈姑煮の角までちやんと食べぬから 坂本晶子
毛づくろひのやうな会話や日向ぼこ 渡辺知美
新聞の折り目正しう冷えてゐる 金子富也
母に似る冬の蠛払ふかな 篠さとみ
「銀漢」(主宰=伊藤伊那男)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年2月号(通巻170号)>
ためらひが箸先に出て茸鍋 伊藤伊那男
来世より帰りしごとく日向ぼこ 大沼まり子
歌垣に集ひしあたり冬霞 武井まゆみ
冬虹は天使の滑り台ならむ 堀江美州
鴨川にをりし千鳥は飛石に 塚本一夫
葱畑の畝の高きも深谷かな 長井哲
体ごと振る大鍋や年用意 小山蓮子
「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2025年2月号(通算404号)>
生駒嶺に孤雲動かぬ寒四郎 朝妻力
たまゆらの微熱に遊ぶ漱石忌 伊藤月江
宿木のぽぽと揺れゐる大榎 冨安トシ子
炉話や十三を打つ古時計 中谷恵美子
闊達に切るる切れぬと師走句座 糟谷倫子
張らるるを待つ十尺の大根注連 瀬崎こまち
ぶさいくですがと大き柚子置かれをり 児島昌子
「櫟」(主宰=江崎紀和子)【1993年創刊・愛媛県東温市】
<2025年3月号(通巻378号)>
冬すみれ誰も見ざりしビッグバン 末次朗
鯛焼を電子マネーで一つだけ 種谷良二
シリウスもシーラカンスも吾も独り 田邨雅美
極月や四川料理のひりひりと 室達朗
頰杖は冷たきほうの左の手 松田六呉
まだほめてもらひたき夫おでん酒 太田美恵子
霜焼やマッチ擦るとき目を細め 近藤幽慶
「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年2月号(通巻299号)>
ずんぐりと初有明山になりにけり 小澤實
年酒くむ父我えらびたるネクタイ締め 小澤たえみ
因幡の白兎役は我なり神無月 児玉史湖
缶と瓶仕分けの音す神の留守 長澤庸子
火恋し生家に太き梁在れば 大文字明成
飼育器に飼ふ蟇二匹冬眠せず 高橋まさお
今川焼カスタードなら明日は吉 西村理
「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年2月号(通巻173号)>
老い母の頬さくら色初山河 藤田直子
平和賞へ被爆者の発つ開戦日 田沢健次郎
枯葦の荒々と日を使ひけり 黒澤麻生子
白鳥や岸辺に残る銀の靴 古川恵子
海知らぬ海豚や人を乗せて跳ぶ 伊藤美紀子
檀那寺の火の見櫓も寒に入る 梅田ユキノ
葡萄酒の澱降り積もる聖夜かな 河瀬久美
「青山」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年2月号(通巻507号)>
世の中の夢満載の宝船 山崎ひさを
相寄りて灯る雪割り蕗の薹 しなだしん
初蝉にこの世の空の晴れわたり 井越芳子
車座のひとりは竜田姫ならむ 山本洋子
大仏の丸き肩先春の雪 入部美樹
田仕舞の煙の中をいすみ線 ローバック恵子
フィヨルド仰ぐ皮手袋を握りしめ 細野和子
「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年3月号>
獣の血したたらすなり鯨肉 小川軽舟
釣り糸に夕日のあたる十二月 中山玄彦
利き耳はどちらと尋ね日向ぼこ 中田芙美
買ふがいいと本囁ける聖夜かな 堤直之
手を置けば小さき額風邪の妻 松佐古孝昭
辺境に張りつく村や冬菫 齋藤慎子
独走のラガー歓声をも離し 鈴木沙恵子
「橘」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2025年3月号(通巻567号)>
枯芝を陽の子風の子跳ねてくる 横山泠子
星拝む形に鶴の息ふたつ 倉谷義夫
汲み置きの水に星屑神の留守 吉田孝子
冬うらら談林の猫腹見せて 真保ユキ子
石蹴に日暮るる里や雪蛍 菅原善子
掌に掬ふ寒夕焼のかけらかな 小山八寿子
西郷どんの脛へ凩容赦なく 花輪ゆき子
「都市」(主宰=中西夕紀)【2008年創刊・東京都町田市】
<2025年2月号(通巻103号)>
水鳥の光の糸を引き揚ぐる 中西夕紀
竹伐りの姿は見えず竹騒ぐ 森 有也
バンダナの男ら作るきのこ飯 安藤風林
つつ抜けに遠峰光りぬ葡萄棚 北杜 青
大幹に蜘蛛の卵囊秋の暮 平澤ひなこ
しばらくは日差に凭れ石蕗の花 大木満里
露草や更地になりし家の鍵 角田 球
「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年3月号(通巻976号)>
夢殿にひとり来てゐる師走かな 館ゑみ子
初風や男木島から女木島の渡し船 藤本くに子
うつくしき冬の螇蚸のみどりかな 板倉ケンタ
沖止めの船に聖夜の灯りあり 卯月紫乃
炬燵から祖父のからだを引きずりだす 稲葉守大
寒晴や爪を伸ばして生まれ来る 上田窓子
屑籠に落とせば沈む紙懐炉 市原みお
「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2025年2月・3月号(通巻70号)>
そよぎたき形に芽吹く雪柳 柴田多鶴子
話聞くだけの見舞ひやりんご剥く 松本美佐子
行く秋や封書に足りぬ切手貼る 本土彰
落柿舎の文机ひとつ律の風 春名勲
秋麗の港に女優あらはるる 太田健嗣
コスモス園隠れたがつて女の子 駒木敏
小春日や骨量増やすけんけんぱ 有村真由美
「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2025年3月号(通巻192号)>
あはれなるものを並べて雛祭 渡辺純枝
新幹線乗るも降りるも菊日和 景山啓子
名優の訃報の続く雪催 金石法子
起き抜けの水の尖りて冬めきぬ 清水幹子
園丁の危ふき足場冬支度 橋本和子
パンジーを植ゑて二人の軒明り 梅田展子
幾度も雲越えてゆき山眠る 安井洋子
「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2025年2月号(通巻120号)>
貫禄の越前蟹のもつたいな 千々和恵美子
七草や一人に余る米を研ぐ 貴田将子
湯豆腐のをどるを掬ひ一人酒 池内祥晴
掘炬燵に去年の温もり大旦 大里えつを
神官の沓こつこつと淑気かな 門坂悦代
日おもてに群れて膨れて初雀 垣内かをる
皿一つ割つてしまひし大嚏 齋藤禮子
「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年3月号(通巻1539号)>
遺されし雛の瞳濡れてをり 稲畑廣太郎
全身で枯木となつてゆく力 進藤剛至
紅葉してホームドラマのやうな家 相沢文子
破れ蓮尽きること無き風の闇 中村恵美
余命てふ言葉は嫌ひ草の花 奥村里
冬晴を賜り母の忙しく 太田ゆう
火事らしと騒きひやかす三の酉 西尾浩子
「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年2月号>
牡丹雪の影下りてくる蔵の壁 今井聖
白鳥の声を鼻から吸込みぬ 竹内宗一郎
妻として脚立支ふる厄日かな 太田うさぎ
雑炊の魚教へてくれず死す 黒岩徳将
鶏頭の渦を覗いて愚かしく 髙勢祥子
水洟の見えて男の嬉しがる 千葉まどか
長居してカラシ乾いてゆくおでん 樋口亜茶子
「森の座」(代表=横澤放川)【2017年創刊・東京都文京区】
<2025年2月号>
師走とござい猿に糸をのぼらせて 横澤放川
さびしさを友に伝染しぬ鳥渡る 北島大果
発掘の土乾びゆく鵙日和 斎藤寛子
灯台へ火種をこぼし秋落暉 岡田菫和
嬰膝に収まりやすし棉の桃 橋原涼香
遊び場は一遍の寺尉鶲 木村せい子
羽蒲団くるまりやすくたよりなく 北杜駿
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年3月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年3月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年3月25日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年3月31日
*対象は原則として2025年3月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください。
◆配信予定=2025年4月5日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/