【連載】きょうのパン句。【#2】ル・フィヤージュ

【#2】
ル・フィヤージュ
(伊豆高原)

こんにちは。
ご無沙汰しております。
少し間があいてしまいましたが、先日伊豆高原に遊びに行ってきました。

大きな仕事がひとつ終わったので、自分にごほうび、ということで温泉へ。
いいですねー、温泉は。贅沢に、エステもしてもらってきました。

温泉街の近くにあるパン屋さんは、だいたい美味しいです(あんまりないけど)。
温泉は心のゆとり。パンもまた右に同じ。

そんなわけで伊豆高原駅(伊豆急行伊豆急行線)徒歩15分ほどの住宅街に位置する「ル・フィヤージュ」に行ってきました。

ル・フィヤージュは、実に隠れ家的なベーカリーカフェ。店内に入ると、選びきれないほどの(80種類くらいの)パンが並んでいます。しかも昼間は、ランチ営業あり。店の前には中庭もあって、天気のいい日には、木漏れ日の下のテラス席で、美味しいパンをいただくことができます。素敵すぎるよ、伊豆高原。

店名の「フィヤージュ(feuillage)」は、フランス語で「葉っぱ」を表す「フイユ(feuille)」の総称。高原のパン屋にふさわしいネーミングですね。

ミルフィーユが「千枚の葉っぱ(を重ねたもの)」という言葉から来ているように、この店にきてまず食べてほしいのは、こちらのクロワッサンですな。

「クロワッサン」250円

バターたっぷりの甘さではなく、あくまで小麦の甘さに、こんがりと焼けた苦味、そして塩味が感じられるパンです。この店のパンの特徴は、素朴にして滋味があること。なので、クロワッサンはまさにこの店を象徴する一品です。森のなかを駆け巡るリスのような軽やかさ。もうすぐ啓蟄なので、明隅礼子さんの〈啓蟄や走ればきのふより速し〉という一句を思い出しました。

「バケットヴィエノワ」280円

こちらはバターと蜂蜜入りの、ほんのり甘くてやわらかなバゲット。固めのバゲット(昔でいうところのフランスパン)も売ってるんですが、こちらはめずらしいパンだし春らしい。写真は全体の1/3ほど。ミニサイズも売ってます。おやつにも朝食にももってこい。時節柄、深見けん二さんの〈人はみななにかにはげみ初桜〉を思い出しました。

「パン・オ・セレアル」280円

今回トリを飾るのは、こちらのハード系のブレッド。ごらんのとおり、黒胡麻、白胡麻、松の実、レーズンが入っています。わかりやすくいえば、レーズンは甘み担当、松の実はコク担当、二種類の胡麻は香り担当でしょうか。スマホの代わりに持ち歩きたいくらいです。〈春や有為の奥山越えてダンスダンス〉は、毎日芸術賞を受賞された柿本多映さんの一句。

それでは最後に、わたくしのパン句を。

湯の街にフランスパンを買ふ遅日  発酵

のんびりしてきたので、今日からつるつるのお肌で、また仕事を頑張りたいと思います。

みなさんも、伊豆方面に足を伸ばすことがあればぜひ、ル・フィヤージュ、行ってみてください。

(たぶん、わたしより)美味しい俳句ができると思います。

それでは、また次回。つれづれなるままに。


店名 ル・フィヤージュ
住所 〒413-0232 静岡県伊東市八幡野1305−75
TEL 0557-53-3953
営業時間 9:00~17:00
定休日 火曜日
HP http://www.le-feuillage.com/


【執筆者プロフィール】
吉田発酵(よしだ・はっこう)
1983年生まれ。世田谷区在住。パンと俳句と日本酒をこよなく愛する。
好きなパンクは、ラモーンズ 『End of the Century』。


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