「ホトトギス」

夏めくや海へ向く窓うち開き　成瀬正俊【季語＝夏めく（夏）】

暑き日のたゞ五分間十分間　高野素十【季語＝暑し（夏）】

滅却をする心頭のあり涼し　後藤比奈夫【季語＝涼し（夏）】

白衣より夕顔の花なほ白し　小松月尚【季語＝夕顔の花（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年6月分】

人生の今を華とし風薫る　深見けん二【季語＝風薫る（夏）】

仔馬にも少し荷をつけ時鳥　橋本鶏二【季語＝時鳥（夏）】

やす扇ばり／＼開きあふぎけり　高濱虚子【季語＝扇（夏）】

彼のことを聞いてみたくて目を薔薇に　今井千鶴子【季語＝薔薇（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年5月分】

みじかくて耳にはさみて洗ひ髪　下田實花【季語＝洗ひ髪（夏）】

生きてゐて互いに笑ふ涼しさよ　橋爪巨籟【季語＝涼しさ（夏）】

ゆく春や心に秘めて育つもの　松尾いはほ【季語＝ゆく春（春）】

蝌蚪一つ落花を押して泳ぐあり　野村泊月【季語＝蝌蚪・落花（春）】

朝寝して居り電話又鳴つてをり　星野立子【季語＝朝寝（春）】

春眠の身の閂を皆外し　上野泰【季語＝春眠（春）】

自転車がひいてよぎりし春日影　波多野爽波【季語＝春日影（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年4月分】

今日何も彼もなにもかも春らしく　稲畑汀子【季語＝春（春）】

【読者参加型】コンゲツノハイクを読む【2025年3月分】

逢ふたびのミモザの花の遠げむり　後藤比奈夫【季語＝ミモザ（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年3月分】

下萌にねぢ伏せられてゐる子かな　星野立子【季語＝下萌（春）】

小谷由果の「歌舞伎由縁俳句」【第6回】江戸歌舞伎の始祖の名を再興した十七世中村勘三郎の俳句

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年2月分】

湯豆腐の四角四面を愛しけり　岩岡中正【季語＝湯豆腐（冬）】

小鼓の血にそまり行く寒稽古　武原はん女【季語＝寒稽古（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年1月分】

【最終回】今日何も彼もなにもかも春らしく　稲畑汀子【季語＝春（冬）】

笠原小百合の「競馬的名句アルバム」【第15回】1965年　有馬記念　シンザン

北寄舟にぎはひ見せて雪の中　深見けん二【季語＝雪（冬）】

教師二人牛鍋欲りて熄むことあり　中村草田男【季語＝牛鍋（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年12月分】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年6-11月分】

大いなる手袋忘れありにけり　高濱虚子【季語＝手袋（冬）】

咳込めど目は物を見てゐてかなし　京極杞陽【季語＝咳（冬）】

海に出て木枯帰るところなし　山口誓子【季語＝木枯（冬）】

温め酒女友達なる我に　阪西敦子【季語＝温め酒（秋）】

おのづから腕組むこともそぞろ寒　坊城としあつ【季語＝そぞろ寒（秋）】

野分会十とせ経しこと年尾の忌　稲畑汀子【季語＝年尾の忌（秋）】

夜なべしにとんとんあがる二階かな　森川暁水【季語＝夜なべ（秋）】

永遠のステンドグラス秋日濃し　坊城俊樹【季語＝秋日（秋）】

小谷由果の「歌舞伎由縁俳句」【第1回】高濱虚子に師事した初世中村吉右衛門

角切の鹿苑にある静と動　酒井湧水【季語＝角切（秋）】

戦艦の生れしドック小鳥来る　稲畑廣太郎【季語＝小鳥来る（秋）】

今もある須磨療養所獺祭忌　橋本蝸角【季語＝獺祭忌（秋）】

つめたいてのひら　月が淋しくないように　田村奏天【季語＝月（秋）】

スタートライン最後に引いて運動会　塩見恵介【季語＝運動会（秋）】

雨音のかむさりにけり虫の宿　松本たかし【季語＝虫の宿（秋）】

生涯のいま午後何時鰯雲　行方克巳【季語＝鰯雲（秋）】

十一人一人になりて秋の暮　正岡子規【季語＝秋の暮（秋）】

火ぶくれの地球の只中に日傘　馬場叶羽【季語＝日傘（夏）】

朝涼や平和を祈る指の節　酒井湧水【季語＝朝涼（夏）】

ふくらかに桔梗のような子が欲しや　五十嵐浜藻【季語＝桔梗（秋）】

そよりともせいで秋たつことかいの　上島鬼貫【季語＝秋立つ（秋）】

いつの間にがらりと涼しチョコレート　星野立子【季語＝涼し（夏）】

一つだに動かぬ干梅となりて　佛原明澄【季語＝干梅（夏）】

大金をもちて茅の輪をくぐりけり　波多野爽波【季語＝茅の輪（夏）】

半夏蛸とは化けて出る蛸かとも　後藤比奈夫【季語＝半夏（夏）】

先生が瓜盗人でおはせしか　高浜虚子【季語＝瓜（夏）】

蛍火や飯盛女飯を盛る　山口青邨【季語＝蛍火（夏）】

金魚大鱗夕焼の空の如きあり　松本たかし【季語＝金魚（夏）】

留守の家の金魚に部屋の灯を残し　稲畑汀子【季語＝金魚（夏）】

身支度は誰より早く旅涼し　阪西敦子【季語＝涼し（夏）】

橋立も歩けば長し松落葉　高林蘇城【季語＝松落葉（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年5月分】

パン屋の娘頬に粉つけ街薄暑　高田風人子【季語＝薄暑（夏）】

しまうまがシャツ着て跳ねて夏来る　富安風生【季語＝夏来る（夏）】

わが家の見えて日ねもす蝶の野良　佐藤念腹【季語＝蝶（春）】

春惜しみつゝ蝶々におくれゆく三宅清三郎【季語＝春惜む・蝶々（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年4月分】

朝寝楽し障子と壺と白ければ三宅清三郎【季語＝朝寝（春）】

蜃気楼博士ばかりが現れし　阪西敦子【季語＝蜃気楼（春）】

東風を負ひ東風にむかひて相離る三宅清三郎【季語＝東風（春）】

山桜見て居ればつく渡舟かな　波多野晋平【季語＝山桜（春）】

麗しき春の七曜またはじまる　山口誓子【季語＝春（春）】

初花や竹の奥より朝日かげ川端茅舎【季語＝初花（春）】

雁かへる方や白鷺城かたむく　萩原麦草【季語＝雁帰る（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年3月分】

流氷や宗谷の門波荒れやまず　山口誓子【季語＝流氷（春）】

吾も春の野に下りたてば紫に　星野立子【季語＝春の野（春）】

エッフェル塔見ゆる小部屋に雛飾り　柳田静爾楼【季語＝雛飾り（春）】

三月の旅の支度にパスポート　千原草之【季語＝三月（春）】

故郷のすすしの陰や春の雪　原石鼎【季語＝春の雪（春）】　

三椏の花三三が九三三が九　稲畑汀子【季語＝三椏の花（春）】

いつ渡そバレンタインのチョコレート　田畑美穂女【季語＝バレンタインチョコ（春）】

針供養といふことをしてそと遊ぶ　後藤夜半【季語＝針供養（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年2月分】

【連載】久留島元のオバケハイク【最終回】方相氏

屋根の上に明るき空やパリの春　コンラツド・メイリ【季語＝春（春）】

降る雪や玉のごとくにランプ拭く　飯田蛇笏【季語＝雪降る（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年1月分】

ラヂオさへ黙せり寒の曇り日を　日野草城【季語＝寒（冬）】

数へ日の残り日二日のみとなる　右城暮石【季語＝数へ日（冬）】

風邪を引くいのちありしと思ふかな　後藤夜半【季語＝風邪（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2023年12月分】

美しき時雨の虹に人を待つ　森田愛子【季語＝時雨（冬）】

花八つ手鍵かけしより夜の家　友岡子郷【季語＝花八つ手（冬）】

あたゝかき十一月もすみにけり　中村草田男【季語＝十一月（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2023年11月分】

夏めくや海へ向く窓うち開き 成瀬正俊【季語＝夏めく（夏）】

暑き日のたゞ五分間十分間 高野素十【季語＝暑し（夏）】

滅却をする心頭のあり涼し 後藤比奈夫【季語＝涼し（夏）】

白衣より夕顔の花なほ白し 小松月尚【季語＝夕顔の花（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年6月分】

人生の今を華とし風薫る 深見けん二【季語＝風薫る（夏）】

仔馬にも少し荷をつけ時鳥 橋本鶏二【季語＝時鳥（夏）】

やす扇ばり／＼開きあふぎけり 高濱虚子【季語＝扇（夏）】

彼のことを聞いてみたくて目を薔薇に 今井千鶴子【季語＝薔薇（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年5月分】

みじかくて耳にはさみて洗ひ髪 下田實花【季語＝洗ひ髪（夏）】

生きてゐて互いに笑ふ涼しさよ 橋爪巨籟【季語＝涼しさ（夏）】

ゆく春や心に秘めて育つもの 松尾いはほ【季語＝ゆく春（春）】

蝌蚪一つ落花を押して泳ぐあり 野村泊月【季語＝蝌蚪・落花（春）】

朝寝して居り電話又鳴つてをり 星野立子【季語＝朝寝（春）】

春眠の身の閂を皆外し 上野泰【季語＝春眠（春）】

自転車がひいてよぎりし春日影 波多野爽波【季語＝春日影（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年4月分】

今日何も彼もなにもかも春らしく 稲畑汀子【季語＝春（春）】

【読者参加型】コンゲツノハイクを読む【2025年3月分】

逢ふたびのミモザの花の遠げむり 後藤比奈夫【季語＝ミモザ（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年3月分】

下萌にねぢ伏せられてゐる子かな 星野立子【季語＝下萌（春）】

小谷由果の「歌舞伎由縁俳句」【第6回】江戸歌舞伎の始祖の名を再興した十七世中村勘三郎の俳句

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年2月分】

湯豆腐の四角四面を愛しけり 岩岡中正【季語＝湯豆腐（冬）】

小鼓の血にそまり行く寒稽古 武原はん女【季語＝寒稽古（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年1月分】

【最終回】今日何も彼もなにもかも春らしく 稲畑汀子【季語＝春（冬）】

笠原小百合の「競馬的名句アルバム」【第15回】1965年 有馬記念 シンザン

北寄舟にぎはひ見せて雪の中 深見けん二【季語＝雪（冬）】

教師二人牛鍋欲りて熄むことあり 中村草田男【季語＝牛鍋（冬）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年12月分】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年6-11月分】

大いなる手袋忘れありにけり 高濱虚子【季語＝手袋（冬）】

咳込めど目は物を見てゐてかなし 京極杞陽【季語＝咳（冬）】

海に出て木枯帰るところなし 山口誓子【季語＝木枯（冬）】

温め酒女友達なる我に 阪西敦子【季語＝温め酒（秋）】

おのづから腕組むこともそぞろ寒 坊城としあつ【季語＝そぞろ寒（秋）】

野分会十とせ経しこと年尾の忌 稲畑汀子【季語＝年尾の忌（秋）】

夜なべしにとんとんあがる二階かな 森川暁水【季語＝夜なべ（秋）】

永遠のステンドグラス秋日濃し 坊城俊樹【季語＝秋日（秋）】

小谷由果の「歌舞伎由縁俳句」【第1回】高濱虚子に師事した初世中村吉右衛門

角切の鹿苑にある静と動 酒井湧水【季語＝角切（秋）】

戦艦の生れしドック小鳥来る 稲畑廣太郎【季語＝小鳥来る（秋）】

今もある須磨療養所獺祭忌 橋本蝸角【季語＝獺祭忌（秋）】

つめたいてのひら 月が淋しくないように 田村奏天【季語＝月（秋）】

スタートライン最後に引いて運動会 塩見恵介【季語＝運動会（秋）】

雨音のかむさりにけり虫の宿 松本たかし【季語＝虫の宿（秋）】

生涯のいま午後何時鰯雲 行方克巳【季語＝鰯雲（秋）】

十一人一人になりて秋の暮 正岡子規【季語＝秋の暮（秋）】

火ぶくれの地球の只中に日傘 馬場叶羽【季語＝日傘（夏）】

朝涼や平和を祈る指の節 酒井湧水【季語＝朝涼（夏）】

ふくらかに桔梗のような子が欲しや 五十嵐浜藻【季語＝桔梗（秋）】

そよりともせいで秋たつことかいの 上島鬼貫【季語＝秋立つ（秋）】

いつの間にがらりと涼しチョコレート 星野立子【季語＝涼し（夏）】

一つだに動かぬ干梅となりて 佛原明澄【季語＝干梅（夏）】

大金をもちて茅の輪をくぐりけり 波多野爽波【季語＝茅の輪（夏）】

半夏蛸とは化けて出る蛸かとも 後藤比奈夫【季語＝半夏（夏）】

先生が瓜盗人でおはせしか 高浜虚子【季語＝瓜（夏）】

蛍火や飯盛女飯を盛る 山口青邨【季語＝蛍火（夏）】

金魚大鱗夕焼の空の如きあり 松本たかし【季語＝金魚（夏）】

留守の家の金魚に部屋の灯を残し 稲畑汀子【季語＝金魚（夏）】

身支度は誰より早く旅涼し 阪西敦子【季語＝涼し（夏）】

橋立も歩けば長し松落葉 高林蘇城【季語＝松落葉（夏）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年5月分】

パン屋の娘頬に粉つけ街薄暑 高田風人子【季語＝薄暑（夏）】

しまうまがシャツ着て跳ねて夏来る 富安風生【季語＝夏来る（夏）】

わが家の見えて日ねもす蝶の野良 佐藤念腹【季語＝蝶（春）】

春惜しみつゝ蝶々におくれゆく 三宅清三郎【季語＝春惜む・蝶々（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年4月分】

朝寝楽し障子と壺と白ければ 三宅清三郎【季語＝朝寝（春）】

蜃気楼博士ばかりが現れし 阪西敦子【季語＝蜃気楼（春）】

東風を負ひ東風にむかひて相離る 三宅清三郎【季語＝東風（春）】

山桜見て居ればつく渡舟かな 波多野晋平【季語＝山桜（春）】

麗しき春の七曜またはじまる 山口誓子【季語＝春（春）】

初花や竹の奥より朝日かげ 川端茅舎【季語＝初花（春）】

雁かへる方や白鷺城かたむく 萩原麦草【季語＝雁帰る（春）】

【結社推薦句】コンゲツノハイク【2024年3月分】

夏めくや海へ向く窓うち開き　成瀬正俊【季語＝夏めく（夏）】

暑き日のたゞ五分間十分間　高野素十【季語＝暑し（夏）】

滅却をする心頭のあり涼し　後藤比奈夫【季語＝涼し（夏）】

白衣より夕顔の花なほ白し　小松月尚【季語＝夕顔の花（夏）】

人生の今を華とし風薫る　深見けん二【季語＝風薫る（夏）】

仔馬にも少し荷をつけ時鳥　橋本鶏二【季語＝時鳥（夏）】

やす扇ばり／＼開きあふぎけり　高濱虚子【季語＝扇（夏）】

彼のことを聞いてみたくて目を薔薇に　今井千鶴子【季語＝薔薇（夏）】

みじかくて耳にはさみて洗ひ髪　下田實花【季語＝洗ひ髪（夏）】

生きてゐて互いに笑ふ涼しさよ　橋爪巨籟【季語＝涼しさ（夏）】

ゆく春や心に秘めて育つもの　松尾いはほ【季語＝ゆく春（春）】

蝌蚪一つ落花を押して泳ぐあり　野村泊月【季語＝蝌蚪・落花（春）】

朝寝して居り電話又鳴つてをり　星野立子【季語＝朝寝（春）】

春眠の身の閂を皆外し　上野泰【季語＝春眠（春）】

自転車がひいてよぎりし春日影　波多野爽波【季語＝春日影（春）】

今日何も彼もなにもかも春らしく　稲畑汀子【季語＝春（春）】

逢ふたびのミモザの花の遠げむり　後藤比奈夫【季語＝ミモザ（春）】

下萌にねぢ伏せられてゐる子かな　星野立子【季語＝下萌（春）】

湯豆腐の四角四面を愛しけり　岩岡中正【季語＝湯豆腐（冬）】

小鼓の血にそまり行く寒稽古　武原はん女【季語＝寒稽古（冬）】

【最終回】今日何も彼もなにもかも春らしく　稲畑汀子【季語＝春（冬）】

笠原小百合の「競馬的名句アルバム」【第15回】1965年　有馬記念　シンザン

北寄舟にぎはひ見せて雪の中　深見けん二【季語＝雪（冬）】

教師二人牛鍋欲りて熄むことあり　中村草田男【季語＝牛鍋（冬）】

大いなる手袋忘れありにけり　高濱虚子【季語＝手袋（冬）】

咳込めど目は物を見てゐてかなし　京極杞陽【季語＝咳（冬）】

海に出て木枯帰るところなし　山口誓子【季語＝木枯（冬）】

温め酒女友達なる我に　阪西敦子【季語＝温め酒（秋）】

おのづから腕組むこともそぞろ寒　坊城としあつ【季語＝そぞろ寒（秋）】

野分会十とせ経しこと年尾の忌　稲畑汀子【季語＝年尾の忌（秋）】

夜なべしにとんとんあがる二階かな　森川暁水【季語＝夜なべ（秋）】

永遠のステンドグラス秋日濃し　坊城俊樹【季語＝秋日（秋）】

角切の鹿苑にある静と動　酒井湧水【季語＝角切（秋）】

戦艦の生れしドック小鳥来る　稲畑廣太郎【季語＝小鳥来る（秋）】

今もある須磨療養所獺祭忌　橋本蝸角【季語＝獺祭忌（秋）】

つめたいてのひら　月が淋しくないように　田村奏天【季語＝月（秋）】

スタートライン最後に引いて運動会　塩見恵介【季語＝運動会（秋）】

雨音のかむさりにけり虫の宿　松本たかし【季語＝虫の宿（秋）】

生涯のいま午後何時鰯雲　行方克巳【季語＝鰯雲（秋）】

十一人一人になりて秋の暮　正岡子規【季語＝秋の暮（秋）】

火ぶくれの地球の只中に日傘　馬場叶羽【季語＝日傘（夏）】

朝涼や平和を祈る指の節　酒井湧水【季語＝朝涼（夏）】

ふくらかに桔梗のような子が欲しや　五十嵐浜藻【季語＝桔梗（秋）】

そよりともせいで秋たつことかいの　上島鬼貫【季語＝秋立つ（秋）】

いつの間にがらりと涼しチョコレート　星野立子【季語＝涼し（夏）】

一つだに動かぬ干梅となりて　佛原明澄【季語＝干梅（夏）】

大金をもちて茅の輪をくぐりけり　波多野爽波【季語＝茅の輪（夏）】

半夏蛸とは化けて出る蛸かとも　後藤比奈夫【季語＝半夏（夏）】

先生が瓜盗人でおはせしか　高浜虚子【季語＝瓜（夏）】

蛍火や飯盛女飯を盛る　山口青邨【季語＝蛍火（夏）】

金魚大鱗夕焼の空の如きあり　松本たかし【季語＝金魚（夏）】

留守の家の金魚に部屋の灯を残し　稲畑汀子【季語＝金魚（夏）】

身支度は誰より早く旅涼し　阪西敦子【季語＝涼し（夏）】

橋立も歩けば長し松落葉　高林蘇城【季語＝松落葉（夏）】

パン屋の娘頬に粉つけ街薄暑　高田風人子【季語＝薄暑（夏）】

しまうまがシャツ着て跳ねて夏来る　富安風生【季語＝夏来る（夏）】

わが家の見えて日ねもす蝶の野良　佐藤念腹【季語＝蝶（春）】

春惜しみつゝ蝶々におくれゆく三宅清三郎【季語＝春惜む・蝶々（春）】

朝寝楽し障子と壺と白ければ三宅清三郎【季語＝朝寝（春）】

蜃気楼博士ばかりが現れし　阪西敦子【季語＝蜃気楼（春）】

東風を負ひ東風にむかひて相離る三宅清三郎【季語＝東風（春）】

山桜見て居ればつく渡舟かな　波多野晋平【季語＝山桜（春）】

麗しき春の七曜またはじまる　山口誓子【季語＝春（春）】

初花や竹の奥より朝日かげ川端茅舎【季語＝初花（春）】

雁かへる方や白鷺城かたむく　萩原麦草【季語＝雁帰る（春）】

流氷や宗谷の門波荒れやまず　山口誓子【季語＝流氷（春）】

吾も春の野に下りたてば紫に　星野立子【季語＝春の野（春）】

エッフェル塔見ゆる小部屋に雛飾り　柳田静爾楼【季語＝雛飾り（春）】

三月の旅の支度にパスポート　千原草之【季語＝三月（春）】

故郷のすすしの陰や春の雪　原石鼎【季語＝春の雪（春）】　

三椏の花三三が九三三が九　稲畑汀子【季語＝三椏の花（春）】

いつ渡そバレンタインのチョコレート　田畑美穂女【季語＝バレンタインチョコ（春）】

針供養といふことをしてそと遊ぶ　後藤夜半【季語＝針供養（春）】

屋根の上に明るき空やパリの春　コンラツド・メイリ【季語＝春（春）】

降る雪や玉のごとくにランプ拭く　飯田蛇笏【季語＝雪降る（冬）】

ラヂオさへ黙せり寒の曇り日を　日野草城【季語＝寒（冬）】

数へ日の残り日二日のみとなる　右城暮石【季語＝数へ日（冬）】

風邪を引くいのちありしと思ふかな　後藤夜半【季語＝風邪（冬）】

美しき時雨の虹に人を待つ　森田愛子【季語＝時雨（冬）】

花八つ手鍵かけしより夜の家　友岡子郷【季語＝花八つ手（冬）】