「梅雨」に入ること。「梅雨入」ともいう。
【梅雨に入る(上五)】
梅雨に入る椎の木陰の葵哉 正岡子規
梅雨に入る夫なきくらしにも入る 安田悦子
【梅雨に入る(中七)】
十葉の花まづ梅雨に入りにけり 久保田万太郎
鹿の斑のかそけき梅雨に入りにけり 野中亮介
突支棒はづれて梅雨に入りにけり 加藤静夫
【梅雨に入る(下五)】
世を隔て人を隔てゝ梅雨に入る 高野素十
水郷の水の暗さも梅雨に入る 井沢正江
火よ火よと啼きつる鳥や梅雨に入る 沖あき
箸は立てスプーンを寝かせ梅雨に入る 森田智子
地球儀の中はからつぽ梅雨に入る 花房直正
海蛇の長き一息梅雨に入る ドゥーグル・J・リンズィー
黒々と欅並木の梅雨に入る 杉原祐之
吊り革のしづかな拳梅雨に入る 村上鞆彦