
【秋の季語=三秋(8-10月)】焼米
「新米」を籾のまま煎って火を通し、搗いて殻を取り去ったもの。 そのまま食べることも可能だが、湯や汁物でふやかして粥状にして食べることもある。正倉院文書や『和名抄』にも見え、歴史は古い。近世には大量生産され、京・江戸に献上したり、焼米売りが町家に売り歩いたりした。
近代化以降も苗代に蒔く折に余った籾の利用法として、あるいは収穫直前の「旬の味」として生産されたが、乾燥する前の籾が生産者以外手に入りにくい現在は、焼米もほとんど利用されなくなっている。
日本全国に焼米の文化が見られ、地名として残っているところも多い。江戸時代、東海道庄野宿では拳大の俵に詰めた焼米が名物となっていた。

【焼米(上五)】
焼米や家に伝はる会津盆 樗良
焼米や其家々のいせの神 召波
やき米や仏の膝にあまるまで 蕪村
焼米や子のない家も御一口 一茶
焼米を家苞にして膝栗毛 松藤素子
【焼米(中七)】
【焼米(下五)】