【秋の季語】二百十日/厄日 二百二十日

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【秋の季語(初秋=8月)】二百十日/厄日 二百二十日

【解説】「厄日」というのは、一般的には陰陽道などで「災難が起こりやすいとして忌む日」を指しますが、俳句では立春を起算日として二百十日目のこと(立春の209日後の日)をいいます。「八十八夜」などと同じく、(農作業の目安としての)雑節と呼ばれる節目ですね。八朔(旧暦8月1日)や二百二十日とともに、農家の三大厄日とされています。俳諧では、『俳諧通俗誌』(1716年)に初出。

多くの歳時記の見出しには、「二百十日」とありますが、やや長くて使いにくいので、季語としては3音の「厄日」が最も使われるフレーズでしょう。「厄」という字が入っているのも、俳人にとっては、どことなく心躍る要素かもしれません。たいていは、新暦の8月31日か、9月1日に相当します。

立春は2月に必ずやってきますから、3月から8月までの日数を「209」から引き算してみるとどうなるでしょうか。209ー(31+30+31+30+31+31)=209ー184=25 ということで、立春が2月4日でかつ2月28日まであるとすると(2月だけで25日あるので)、厄日は「9月1日」ということになります。

厄日=9月1日に台風が多いという客観的データはないようですが、しかしこの日に関東大震災が起こったということは、偶然であるにしても、この日の「厄」性を忘れられないものにしているようにも思えます。

厄日を描いた作品で最も有名なのは、何といっても、宮沢賢治『風の又三郎』(1934)でしょう。作中年では、9月1日が二百十日でしたが、この設定は、原型のひとつである『風野又三郎』(1924) の設定と同じ。

もっとも、これは余談ですが、宮沢賢治の短い生涯において、1923年の関東大震災だけが、大きな意味をもっているわけではありません。賢治の生まれた年には大地震によって「明治三陸津波/陸羽地震」(1896年)が、亡くなる年には「昭和三陸津波」(1933年)が発生し、おのおの甚大な被害をもたらしたのですから。

そしてこのうち、1896年に東北地方を襲った「陸羽地震」(M7.2)が発生したのも、8月31日のことだったことは、記憶に止めておいてもよいかもしれません。この年は、なんと「8月31日」が厄日だったのです。

【関連季語】立春、白露、台風など。


【厄日】

小百姓のあはれ灯して厄日かな 村上鬼城
ひらひらと猫が乳呑む厄日かな 秋元不死男
川波も常の凪なる厄日かな 石塚友二
四五人の声が田を行く厄日かな 黛執
厄日来て糊効きすぎし釦穴 能村研三
狛犬の影につまづく厄日かな 小室誠
厄日過ぐ身を締むるものみな外し 神田ひろみ 

【二百十日】

内海や二百十日の釣小舟 正岡子規
鰡飛んで野川の二百十日かな 大須賀乙字
職工の弾くギター二百十日無事 杉本零
越中八尾二百十日の月上げし 渡辺恭子
海峡の二百十日の潮目かな 吉永佳子
牧草にありあまる風厄日過ぐ 小和田知江
仔牛待つ二百十日の外陰部 鈴木牛後
延命や二百十日の雲ひとつ 宮本佳世乃
二百十日ステーキの血を味わって 米林修平

【二百二十日】

荒れもせで二百二十日のお百姓 高浜虚子
子に飲ますワクチン二百二十日かな 山澤香奈

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