【冬の季語=三冬(11〜1月)】山眠る
「冬の山」の静まり返った様子。
南宋の呂祖謙「臥遊録」の「冬山惨淡として眠るが如し」に由来する。
まれに「眠る山」とも。
【山眠る(上五)】
山眠りいま遠き川遠き村 中村苑子
山眠るまばゆき鳥を放ちては 山田みづえ
山眠るいたるところに忍び釘 仁平勝
山眠る細き蛇口のサモワール 満田春日
山眠る柩にならうとする木々も 中原道夫
山眠り子供の服のあざやかな 岸本尚毅
山眠る恋の終りを見届けて 黛まどか
山眠る着信音のいつまでも 岸本由香
山眠るクッキーの真ん中にジャム 箱森裕美
【山眠る(中七)】
とぢし眼のうらにも山のねむりけり 木下夕爾
【山眠る(下五)】
木も草もいつか従ひ山眠る 桂信子
いくたびも虹を吐いては山眠る 高野ムツオ
夏も殷も周も滅びて山眠る 角川春樹
落石の余韻を永く山眠る 片山由美子
湖をこつんとのこし山眠る 松王かをり
角材に記号と数字山眠る 山田美恵子
【ほかの季語と】
山眠るなめくぢ一つ大きくて 岸本尚毅
椎茸のふくらふつくら山眠る 蕪山啓子