花臭木に蝶のせはしや浮かび沈み
本井英
クサギの花は、五つに細く裂ける可憐な白花と、それを支える真っ赤な萼が特徴的。名前のもとになっている悪臭は、葉っぱから発せられるもの。
花はいい香りがするので、昼間はチョウが、夕方は大型のガが飛来する。
のちにリンクする自解に、今日は前妻の命日であると書かれているので、芳香と悪臭を併せ持つ「花臭木」を自身に見立て、それでも近くにいつもいてくれる(=「浮かび沈み」)亡き妻のことを偲んでいるのだろう。
男性にとって、蝶はどこか異性を思うところがあるのかもしれないが、この「蝶」は闊達で働き者である。
ふらんす堂ホームページで連載されている「本井英の俳句日記」8月4日分より。(堀切克洋)
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