【冬の季語=三冬(11月〜1月)】咳く
「せく」「しわぶく」と音数に従って読み分ける。
【咳(上五)】
咳き込めば我火の玉のごとくなり 川端茅舎
咳こんでいいたいことのあふれけり 成田三樹夫
咳くと胸の辺に月こぼれきぬ 角川源義
咳熄んで大きな石をみつめゐる 菅原鬨也
【咳(中七)】
誰か咳きわがゆく闇の奥をゆく 篠原梵
ことさらに咳こみ母を独り占め 保田貴子
【咳(下五)】
痩身の少女鼓のやうに咳く 福田甲子雄
ダリの青キリコの赤と咳けり 四ッ谷龍
【その他の季語と】
柩行く冬田ぞ咳のひびきける 加藤楸邨