【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年8月分】


前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。

また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」、8月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!


コンゲツノハイク 2025年8月
(2025年7月刊行分)

今月の参加結社☞「秋草」「稲」「伊吹嶺」「炎環」「円虹」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「麒麟」「銀化」「銀漢」「澤」「秋麗」「青山」「蒼海」「鷹」「田」「天穹」「南風」「濃美」「noi」「ホトトギス」「街」「雪華」「楽園」


「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年8月号(通巻188号)>
鉄板に高きヘラ音南吹く 山口昭男
父恋し母はそれほど夏みかん 高橋真美
かたつむりどこの家にも朝が来て 舘野まひろ
桶や樽祭仕度といふ音に 藤井万里
乳鉢の白き汚れや種浸し 西垣熾
水よりも水鉄砲のつめたかり 小鳥遊五月
マーガレットほどの甘さで我をとほす 松之元陽子


「稲」(主宰=山田真砂年まさとし【2021年1月創刊】
<2025年7月号(通巻29号)>
先頭と殿に保母花吹雪   北原昭子
あらあらと空の透けたる古巢かな   大坪正美
花を買ふほどの還付や春の風   飛田小馬々
骨董市掘り出し物に花の塵   高田 峰
ブーケトスミモザの空を高高と   山田ゆい子
支払ひの小銭ぴつたり春一番   相馬ゆう子
肘光らせて受験子のまつしぐら   上田信隆


「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年8月号(通巻325号)>
雷の二度めは鳴らず慰霊の日 河原地英武
過ぎ去ればみな夢夏の月仰ぐ 栗田やすし
葬りを告ぐる鐘の音片かげり 田嶋紅白
貼りついて涙の形あまがへる 加藤剛司
月涼し運河へ水をすてに出て 矢野孝子
聖五月祈りの像に鳥の糞 伊賀啓太
ひなげしや候補者の立つ駅の朝 本庄鉄弥


「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2025年7月号(通巻541号)>
楸邨の遠くなりけり夏の月 石寒太
楸邨の句碑訪ふ額若葉雨 鈴木経彦
花の雲ゆつくり剝す顔パック 飛田園美
地下道に乾かぬところ巴里祭 岡田由季
ポストまで一歩二歩散歩花吹雪 常盤優
ねぎらひに始まる句会柏餅 丑山霞外
花種蒔くたましひ少し軽くなる このはる紗耶


「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和7年8月号 第368号>
四阿に立ちては座る若葉冷  森永清子
色のなき一間となれり雛納  宇賀阿抄子
封蝋のト音記号や風薫る  伏見昌子
丸々と介護ホームの金魚かな  林敦子
行く春や分教場の古オルガン  谷岡稔
落胆の朝となりたる根切虫  池田裕子
ガタゴトと麦秋を割く播但線  谷本健次


「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年7・8月合併号(第70号)>
啄木忌倒したままの砂時計 片岡秀樹
さくらさくら黙読が声になる 三枝みずほ
ひらひらとさくら散るなりもの忘れ 日高玲
犬ふぐり空はいちにち空であり 平田薫
クリオネの頭パカッと春を喰う 松本千花
星々のこぼれて枝垂れ桜かな 水野真由美
ふたり居てひとりときどき亀鳴けり 茂里美絵


「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年7月号(通巻1026号)>
形代の寄りゆく笹生揺れ始む 山尾玉藻
桜蕊降り毳立てるにはたづみ 坂口夫佐子
杉苗を植ゑいづかたも高嶺晴 蘭定かず子
目借どきパイプが船へ氷吐き 山田美恵子
卒寿とてそれがどうした焼栄螺 湯谷良
山の気を引き寄せゐたる大代田 五島節子
筍の土のゆるみに小膝突き するきいつこ


「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年7月号(通巻1147号)>
金魚田の風に襁褓を干しにけり 森田純一郎
大ねぢれして老桜の胴吹けり 平田冬か
春の風サリーをまとふ乙女らに 村手圭子
霾るや大和国原ざらざらす 堀 康恵
ガーデンウェディグの春の芝柔し 伊藤美貴子
鳥遠くなりて梅まだ揺れにけり 宮崎こうや
沈丁のしづかな道を振り返る 内田二歩 


「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<第54巻第8号(通巻585号)>
前ならえ戦知らずの葱坊主    粥川 青猿  
冷奴逃げ切る本音ある気配   江波戸 明
推敲の一字寝かせて明け易し  三浦斗久舟
逃げ水を追うて夫棲む所まで  松原 静子         
春愁や加湿除湿を繰り返す   村川 三津子
朧月最終列車と交差する    大沼 惠美子
不意に会う我また蛇も不運なり 小宮 富子


「麒麟」(主宰=西村麒麟)【2023年創刊・東京都江東区】
<2025年夏号(通巻10号)>
玻璃越しに春の日ざしや箸渡し 古川阿津子
落第や鯉のやうなる髭が欲し 平野皓大
花を来し馬の睡りの深からん 辻村栗栖
初恋の人に似てゐる桜鯛 琴夫
胸の花どこかに忘れ卒業す 浅田瑠衣
春の服たくさん褒めてもらひけり 杉田ぱに
豆の花われ惚れられてゐるらしく 斉藤志歩



銀漢(ぎんかん)」(主宰=伊藤伊那男(いなお)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年8月号(通巻176号)>
動き出すかに初夏の枯山水 伊藤伊那男
菖蒲湯の溢るるほどに明日思ふ  長谷川千何子
母の日や母の貫禄には遠く  清水佳壽美
焼鮎を縦で受け取り横に喰む  大田勝行
競漕の岸に母校の名の谺  日山典子
彼岸より此岸へ桜吹雪かな  長谷川明子
春火鉢顔と顔とが近すぎて  久保園和美


「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年8月号(通巻323号)>
後朝の蛍はとうに別の虫 大槻寿一
てんでんに草矢ちらばる子は失せる 大西主計
玉解いてゆくは芭蕉のみせどころ 石山正子
六月のシャーレに培養されし鬱 玉木まさ代
夏の夜の樹液酒場を梯子しぬ 宮岸羽合
雁首を揃へ虎魚を云々す 對馬埜臬
ラベンダー前田真三なら引きで 空井美香


「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2025年7月号(通算409号)>
御田植祭一人相撲が神に負く  長岡 静子
軽き身をいよいよ軽く更衣  宇利 和代
早乙女が籠をふりふりおざや節  小山 禎子
帰り来て牡丹疲れの夕支度  渡邉眞知子
春深し乳牛と聞くモーツァルト  関口 ふじ
ででむしの乗る葉を残し庭手入れ  杉本 綾子
ゴールデンウィーク寝癖付きにけり  星私 虎亮


「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年7月号(通巻304号)>
津波とどきしかぎり枯野となりそのまま 小澤實
パチンコ屋の募菓子箱へ菓子白シャツは 小澤たえみ
五年内に起業しますと新社員 小川秀樹
ぼろんぼろんと百合散るは世を倦んで あいのいと
蕗剝きし黒き親指信子読む 千葉典子
不器用に泳ぐ金魚に課長の名 西村理
スクリューキャップのチリワインもて春惜しむ 前島康樹


「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年7月号(通巻178号)>
六角堂円くめぐれる涼しさよ 藤田直子
里の子のはないちもんめ柿の花 田中康夫
風薫るメリーゴーランドの浮遊 石井洽星
麦の秋次の村へと車駆る 常木由利子
母の日やしづかに事の決まりゆく 石田うめこ
手作りの宇宙服の児柏餅 成相真理子
木下闇囁くの字に耳三つ 河瀬久美


青山せいざん」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年7月号(通巻512号)>
梅雨寒や読み確かむる訃報欄   山崎ひさを
空気濡らして削氷の降り積もる   しなだしん
碧落に秋風老いてゆきにけり  井越芳子
ポケットに小さきハモニカ青き踏む  水谷由美子
飛び跳ねるやうな日差しに蓬摘む  山本洋子
風荒れて磨かれてゆく蘆の角  入部美樹
鳴き尽くし転がつてをり油蝉  坂東文子


蒼海そうかい」(主宰=堀本裕樹)【2018年創刊・東京都新宿区】
<28号>
ゑがかれて凍蝶昏みゆくいよよ 早田駒斗
響きあふ誰も彼もなし冬の富士 福田健太
桶にくの字に捩り込む干大根 曲風彦
竹林は鳥のものなり雪しきり 加藤ナオミ
網焼きの餅ふくらんで倒れけり 犬星星人
菜食のあと木枯へ向かひけり 森井三喜
雪だるま溶けて土偶となりにけり 福田小桃


「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年8月号>
現金はかぞへて楽し氷菓買ふ  小川軽舟
書割の町に迷ひぬ寺山忌  近藤洋太
詩は声に弔はれけり夜の新樹   平山南骨
姫女菀貧乏草といふなかれ   岡庭浩子
日傘ゆく葉騒の影をすべらせて  中野こと子
灯火に家浮かびけり行々子  干䑓きん子 
雨太く乱鶯の森沸き立ちぬ  三輪遊


「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2025年8-9月号(通巻261号)>
太陽を取り合ふ百の葱坊主 仲 栄司
ひとひらもこぼれぬ桜月夜かな 細川朱雀
潮干狩満ちくる潮に一家族 首藤静夫
山登りすべての雲にさはりゆく 草子洗
新緑を抜け恐竜の骨の中 佐藤千恵子
あはあはと明けゆく海や更衣 間 恵子
アロハシャツよく休むから働ける 上野犀行


「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年8月号(通巻330号)>
群れてゐて孤独闘魚も老人も 佐々木建成
ラムネ飲む喉の佛の慈雨となれ 籠田幸籠
緑さす千手の指に我が指に 渡辺花穂
じやらじやらと風の戯れ付く小判草 立道すみ女
少年の薄き口髭ラムネ飲む 藤原基子
筍の謀反の如く出でにけり 荒木正夫
英会話なめらか駅の新社員 髙野紀子



「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年8月号(通巻981号)>
微笑みを溜めつつ潰す苺かな 鳥山有里子
揺るるもの耳に下げたき新樹かな 市原みお
春筍にもつとも紅き火をつくる 板倉ケンタ
緑なる風にあり眼が息してゐる 大熊光汰
百合の蕊蛭の如くに動きけり 稲葉守大
引き金を引けば無数のしやぼん玉 吉川祥子
ワイヤレスイヤフォン沈みゆく泉 折戸 洋


「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2025年8月号(通巻197号)>
スミちやんといふ山羊を連れ黍畑 渡辺純枝
海猫や岩にそれぞれ名のありて 関谷恭子
新しき歯ブラシ一本初つばめ 遠藤多寿子
雨ほめて八十八夜の農日誌 三尾博子
今年また丸井さん角初桜 石本玲子
また若き春の来てわれの古りゆく 奥山篤子
風船を天に盗られてしまひけり 伊藤遊光


「noi」(代表=神野紗希・野口る理)【2025年創刊】
<2025年7月号(通巻3号)>
じわじわと呑むじわじわと蛇が蛇を  丹下京子
ランプよりのがれたるひかりやことり  弓木あき
書架は森すべての樹下に春の鹿  飯本真矢
麻痺の手は虹に触れたる手でありぬ  此村奈積
泳ぎ尽くして哺乳類として眠る  後藤麻衣子
ハンディファン切ってフォロワー減った気分  北野小町
いもうとは光属性だしすもも  深谷健


「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2025年7月号(通巻125号)>
渓流を渡る裸足の一歩かな  千々和恵美子
夏蝶や雨が光になるところ  安倍真理子
十周年祝ぐ喝采や風薫る  貴田将子
十年の節目きりりと今年竹  森 和子
搾乳の山羊の匂へる今朝の夏  藤井さわこ
父の日や箪笥の上のソフト帽  益滿行俊
歯科の椅子倒れてふはり青葉風  温水廣子


「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年8月号(通巻1544号)>
西瓜食ぶ地球の裏に種飛ばし 稲畑廣太郎
筆筒に並ぶ筆先春埃 山田佳乃
悠悠と異界に遊ぶ蜃気楼 河野ひろみ
水見舞寝具四枚届けたり 田中利絵
利休忌の野の明るさが碗の底 菅谷糸
しやぼん玉透かして見ゆる子のほつぺ 藤丸千香子
蜃気楼出ずも立山のびのびと 井上大輔


「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<NO.174>
かなぶんを銜へて捨てて烏の子   今井聖
足裏の花粉を洗ひ介護終ふ     鈴木八千代
莢豌豆運転席が読書室       穂阪幹子
麦秋や一人一揆といふ歩調     石川暘子
蟹食べて夜は二人で死を語る    金丸和代
炎昼やときめかぬものみな捨てる  杉山愉一
春の雲名簿に一本線を引く     半澤登喜惠


「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年8月号>
木春菊まぶたは閉ぢるためにある 柊月子
炭酸を永遠と名づけて注ぎにけり 青山酔鳴
木耳やいま混乱の形なる 小山内杏
ぼうふらが青空裏にぶら下がる 星出航太郎
若葉青葉ひとり貼る湿布のよじれ 土井探花
死だらうか蟻いつぴきの詩だらうか 看做しみず
夏至の日のテロメアの先よくのびて 藤原ハルミ


「楽園」(主宰=堀田季何)【2021年創刊】
<第4巻第5号(通巻22号)>
終戦の空へ白鳥ほどの煙吐く 奥村京水
女でも男でもなく秋の空 松村ゆり子
おじいさんは天使一筆書きのまま浮遊 糸川ラッコ
茸鍋ともに溺れてゐるやうな 羊洵
磔刑のキリストの高さに揚羽 冨田輝
ぎしぎしと目隠しパレード去年今年 赤野四羽
さらさらと肋すり抜け冬の蝶  宮坂枝里子


【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年8月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年8月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年8月25日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/

【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年8月31日
*対象は原則として2025年8月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください
◆配信予定=2025年9月5日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/

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