【夏の季語】心太(ところてん)

【夏の季語=三夏(5-7月)】心太

ところてん。漢字では「心太」と書く。

テングサやオゴノリなどの紅藻類をゆでて煮溶かし、発生した寒天質を冷まして固めた食品である。

「天突き」とよばれる専用の器具を用いて、押し出しながら細い糸状(麺状)に切った形態が一般的。

ところてんを戸外で凍結乾燥させたものが寒天である。

俳句では、〈ところてん煙のごとく沈みをり 日野草城〉が群を抜いて有名。


【心太(上五)】
ところてん墨東綺譚また読まむ 西東三鬼
ところてん前後は水にあそばせよ 加藤郁乎
ところてん雨きつぱりと上りけり 大石悦子
心太てふ文字こころひかれけり 行方克巳
心太水に沈みて無きごとし 長谷川櫂
ところてん池は雨降る前の色  上田信治

【心太(中七)】

【心太(下五)】
あさら井や小魚と遊ぶ心太 小林一茶
旅中頑健飯の代りに心太 高浜虚子
ありそうでついにない仲ところてん 小沢信男
こんな日のこんな事情の心太 宇多喜代子
永遠に泣いていたいの心太 池田澄子
雨音の中の波音ところてん 岩淵喜代子
大川の口より這入るところてん 鳴戸奈菜
幽霊一匹つかまえられなくって ところてん 松本恭子
山頂は見えざるままよ心太 如月真菜
下の名で呼び合う職場ところてん 牧野冴

【その他】



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