
【夏の季語=三夏(5〜7月)】冷酒
冷蔵輸送などがままならなかった昔は、日本酒にはしっかりと火を入れて、常温でも味が変わらないようにするのが常であった。冬には「熱燗」にして体を温めるが、気温が上がればその必要はない。もともとは常温で酒を飲むことを「冷やで飲む」といったが、生酒なども一般的となった現在では「冷酒」といえば、冷えた日本酒のことを指す。「ひやざけ」と四音で読むこともあれば「れいしゅ」と三音で読むこともあるが、以上の経緯から「ひやざけ」と言えば普通は常温で酒を飲むことをいう。「冷やし酒」とも。

【冷酒(上五)】
冷酒よびていまだ帰らず亭の客 尾崎紅葉
冷酒や蟹はなけれど烏賊裂かん 角川源義
冷酒や亜流に生きて心地好し 小野富美子
【冷酒(中七)】
「夕べに白骨」などと冷や酒は飲まぬ 金子兜太(追悼 原子公平)
【冷酒(下五)】
塩漬けの小梅噛みつつ冷酒かな 徳川夢声
皮肉も自嘲も泣き声に負け冷酒酌む 山口優夢