こころをどるをゆび夜濯したまへり 金成愛【季語=夜濯(夏)】

こころをどるをゆび夜濯したまへり
金成愛


挙句は「俳句四季」2025年10月号「句会拝見・きんようび句会」より。
なんと楽しい洗濯だろう。きっと何かいいことがあったのだ。人に言うほどじゃないけれど、もしくは人に言えないことで、ひとり嬉しい気持ちになってしまったことって、誰しもあると思う。
「こころをどる」からの「をゆび」の展開、そして「夜濯」のシチュエーションが絶妙だ。

ハイクノミカタの連載も、残すところあと二回となった。書き始めると、書きたい俳句がいろいろあり、思っていたより私は俳句が好きだったことに気がついた。
俳句が好き、かどうかはわからない。俳句自体のことを考えると様々な気分が生まれるので、もしかしたら好きじゃないのかもしれない。
以上のように「ハイクノミカタ」の第一回に書いたが、好きじゃない、ことはなかった。俳句自体のことを考えても平気だったし、ちゃんと向き合えそうだと思った。

話しを金成愛さんの俳句に戻します。金成愛さんは現在無所属。自由な筆致で俳句を自由に放ち続けている。私にとっては、私が開いている小さな句会「きんようび句会」のメンバーであり、初学のころから俳句を教わってきた先輩である。

ひめゆりのひのめのあひにちさき界 金成愛
もろいゆゑにくゆるゆるくくゆるくろゆり 金成愛

以上二句も同じく、「俳句四季」2025年10月号「句拝見・きんようび句会」より。

金成愛さんの俳句は、時に「さあ、どう読みますか」と挑戦的な姿をしているように私は思う。それをぎりぎりのところで最高の「楽しい」に昇華している俳句のように思う。思う、思うと書いているが、きっとご本人はそんなこと微塵も思ってらっしゃらないのだと思う。
俳句を放ち、そのまま自由にさせている金成さんだから、きっとどのように思っても許してくれそうだ。

(内橋可奈子)


【執筆者プロフィール】
内橋 可奈子(うちはし・かなこ)
1983年生まれ。兵庫県在住。「伊丹市俳句協会」会員。「窓の会」常連。



関連記事