ハイクノミカタ

択ぶなら銀河濃きころ羊村忌  倉橋羊村【季語=銀河(秋)】


択ぶなら銀河濃きころ羊村忌

倉橋羊村 


第一句集『渾身』(1991)に所収。

俳句では、故人を偲んで○○忌を季語化することがあるけれど、それはあくまで亡くなってからのこと。

掲句は、自分自身で「羊村忌」といってしまったところに俳諧味。

しかも第一句集で! そんな作者が亡くなったのは、今年2月のことでした。

1950年代から(20代のうちから)「馬酔木」で活躍し、1964年には「鷹」を創刊した藤田湘子にしたがい初代編集長として参加するも、後に退会。

1989年、青木泰夫より「波」主宰を継承。倉橋羊村は同時に、道元を師と仰いでさまざまな著作を残したけれど、この「銀河」に色濃く感じられるロマンは、やっぱり秋櫻子イズム。(堀切克洋)



【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 馬孕む冬からまつの息赤く 粥川青猿【季語=冬からまつ(冬)】
  2. 逢いたいと書いてはならぬ月と書く 池田澄子【季語=月(秋)】
  3. 宝くじ熊が二階に来る確率 岡野泰輔【季語=熊(冬)】
  4. 背のファスナ一気に割るやちちろ鳴く 村山砂田男【季語=ちちろ鳴…
  5. 思ひ沈む父や端居のいつまでも    石島雉子郎【季語=端居(夏)…
  6. ある年の子規忌の雨に虚子が立つ 岸本尚毅【季語=子規忌(秋)】
  7. 鉄橋を決意としたる雪解川 松山足羽【季語=雪解川(春)】
  8. ぼんやりと夏至を過せり脹脛 佐藤鬼房【季語=夏至(夏)】

おすすめ記事

  1. 「パリ子育て俳句さんぽ」【1月1日配信分】
  2. 【#27】約48万字の本作りと体力
  3. 氷に上る魚木に登る童かな 鷹羽狩行【季語=紅梅(春)】
  4. 犬の仔のすぐにおとなや草の花 広渡敬雄【季語=草の花(秋)】
  5. 【春の季語】白魚
  6. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第31回】田園調布と安住敦
  7. 花言葉なき一生を水中花 杉阪大和【季語=水中花(夏)】
  8. へたな字で書く瀞芋を農家売る 阿波野青畝【季語=山芋(秋)】
  9. 【#43】愛媛県歴史文化博物館の歴史展示ゾーン
  10. 髪ほどけよと秋風にささやかれ 片山由美子【季語=秋風(秋)】

Pickup記事

  1. 刈草高く積み軍艦が見えなくなる 鴻巣又四郎【季語=草刈(夏)】
  2. 【春の季語】春の野
  3. あたゝかき十一月もすみにけり 中村草田男【季語=十一月(冬)】
  4. 鳴きし亀誰も聞いてはをらざりし 後藤比奈夫【季語=亀鳴く(春)】
  5. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第33回】葛城山と阿波野青畝
  6. コンゲツノハイク(結社推薦句)【3月5日締切】
  7. 宝くじ熊が二階に来る確率 岡野泰輔【季語=熊(冬)】
  8. 「パリ子育て俳句さんぽ」【9月17日配信分】
  9. 【春の季語】春二番
  10. 真っ白な番の蝶よ秋草に 木村丹乙【季語=秋草(秋)】
PAGE TOP