【秋の季語】鰡

【秋の季語=仲秋(9月)】鰡

ボラは、ほぼ全世界の熱帯・温帯に広く分布する大型魚で、海辺では身近な魚の一つ。ブリやスズキ、コノシロなどと並んで出世魚ともいわれ、神代の昔から日本人の生活に深くかかわりをもつ魚でもある。

季語としては「鰡」の漢字を当てることが多いが、「鯔」や「鮱」の字も当てる。

とくに水面よりジャンプし、体長の2-3倍ほどの高さまで跳びあがることもある。縦に細長く八の字を描くようなジャンプである。天敵は、サギ類やカワセミなどの小・中型の鳥。

夏は泥臭みがあるが、涼しくなってくるとそれは消えてくる。冬になればいっそう泥臭さが消えて適度に脂がのって美味しい。とくに、寒中に採れる鰡のことを「寒鯔」とよぶ。


【鰡(上五)】
鰡とぶや島と見紛ふ幾岬 安住敦
鰡とんで日曜の晴定まりし 綾部仁喜
鰡飛ぶよ眞珠筏に海取られ 百合山羽公
鰡を釣り周の天下を待ちにけり 有馬朗人
鰡と鯊どちらにされるかを選べ 関悦史

【鰡(中七)】

【鰡(下五)】
身を見せて跳ね上りしは鰡ならん 清崎敏郎
電球のちりちり泣けり鰡の湾 宮坂静生

【その他の季語と】
梅雨の海鯔の飛びたる跡凹む 田川飛旅子
鰡はねて河面くらし蚊喰鳥 水原秋櫻子
底冷えの鰡に釣られてゐる男 佐藤鬼房
大川を鰡遡る冬景色 斎藤夏風


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