神保町に銀漢亭があったころ

神保町に銀漢亭があったころ【第14回】辻村麻乃

ほっとできる場所

辻村麻乃(「篠」主宰)

銀漢亭の噂は様々な俳人からお聞きしていましたが、行きたいと強く思ったのは伊藤伊那男さんから電車の中で声をかけられたのがきっかけです。

その日は「玉藻」の主宰交代の祝賀会(平成26年)で、高橋睦郎さんや稲畑廣太郎さんらと帰路をご一緒した時の同じ車輌で声をかけて頂きました。

必ず行こうと思いながら、敷居が高く、友人が写真俳句展をするという報せを受けてやっと行きました。

また、銀漢亭の超結社句会に参加させて頂いたり、各種授賞式の後の打ち上げ、俳人協会埼玉県支部の方と立ち寄るなど、そこからは何回か足を運ぶようになりました。

どんな忙しい時でも伊那男さんが笑顔で対応してくださり、美味しい手作りのふりかけを分けてくださったり、下戸の私でも居心地のよい場所でした。

一人でふらっと立ち寄っても、必ず知り合いの誰かしらかが呑んでいてほっと出来る場所でした。

私以上にもっと思い入れのある方はいると思いますが、もっと行こうと思っていた矢先なので大変残念に思っています。 

これからも、この時のご縁を大切にして、会えていなくても繋がっているのだと思いながらそれぞれの方々のご活躍をお祈りいたします。

またどこかでお会いできますように。


【執筆者プロフィール】
辻村麻乃(つじむら・まの)
昭和39年東京都生まれ。「ににん」同人を経て、現在は「篠」のみ。俳人協会会員。俳人協会埼玉県支部事務局、世話人。現代俳句協会会員。日本文藝家協会会員。俳句結社「篠(すず)」主宰。

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