【第8回】
俳句甲子園と写真と俳句
来月は俳句甲子園ですね。松山での対戦はさほど関心がなくて。ただ、高校生たちがどんな句を詠んでいるのか、大会結果の俳句は時々拝見しています。
今年で第25回大会だそうです。このうち第5回(2002年)、第6回(2003年)は敗者復活戦の課題が、デジタルカメラで松山城を撮影して句を詠む、というものでした。俳句甲子園の公式HPには大会の様々な情報があります。以前は、過去の大会記録で敗者復活戦の写真と俳句(たしか写真句と表記)を閲覧できたのですが、いまは見当たりません。
書籍の「“五・七・五”のバトル 俳句甲子園」(愛媛新聞社)には第1回から第7回までの大会の結果も収録されていて、そこには第5回と第6回の「敗者復活戦 投句&写真一覧」のページもあります。横置4:3のモノクロ写真とその右側に高校名と俳句がレイアウトされています。その一部を引用すると、
○第5回、21作品(21チーム)
刻まれし城壁の疵西日中 (城から見下ろす城門、ジュースのボトル) 吹田東高等学校
草の花忍び返しを越えて行く (石垣の隙間の草花) 江見商業高等学校
完璧にケーブル灼けて天守閣 (リフトの滑車とその向こうに城) 開邦高等学校
○第6回、21作品(21チーム)
蟬しぐれ樹齢の海の底にいて (鬱蒼と樹木の茂る道) 高田高等学校B
夏空が吸い上げている天守閣 (見上げた城の屋根の一部) 安芸南高等学校
蟬時雨立入禁止のその微笑 (開いた傘を逆さに提げている女生徒) 今治西高等学校
面識のある人だと、中山奈々さんや生駒大祐さんがこの課題の経験者だったと思います。写真もなかなか興味深い。建築物を無造作に撮ったものや、薄っすらと筋雲のある青空だけを撮った写真もあります。俳句の大会に参加して、課題の撮影に当惑している印象を受ける写真もありました。写真の練習はしていなかったでしょうから。
写真と俳句が課題になったのはこの2大会だけのようです。夏井いつきさんは俳句と写真の作品集を2冊出していますし、最近は「写真de俳句」の活動も盛んのご様子です。俳句甲子園でもそのうちまた写真の課題が復活するかも知れません。
なんらかの形で写俳が盛り上がっていくといいなあ。
【執筆者プロフィール】
倉田有希(くらた・ゆうき)
1963年、東京生れ。「里俳句会」を経て現在は「鏡」に所属。
「写真とコトノハ展」代表。 ブログ「風と光の散歩道、有希編」
【倉田有希の「写真と俳句チャレンジ」バックナンバー】
>>第7回 レンズ交換式カメラについて
>>第6回 デジタルカメラかスマートフォンか
>>第5回 写真と俳句、呼称の乱立
>>第4回 写真と俳句の流れと書籍
>>第3回 写俳亭、伊丹三樹彦
>>第2回 石田波郷と写真と俳句
>>第1回 写真と俳句
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】