夏の季語

【夏の季語】ごきぶり

【夏の季語=三夏(5月〜7月)】ごきぶり

生きた化石の一つである昆虫。人家に侵入する。

江戸時代は(その油ぎったような見ためから)「油虫」と呼ばれていた。また、「御器噛」と呼ばれることもあった。「ごきぶり」の名前が定着するのは、近代以降である。

昆虫学者の小西正泰によると、「ゴキブリ」という名称は、『生物学語彙』(岩川友太郎、1884年)に脱字があり、「ゴキカブリ」の「カ」の字が抜け落ちたまま拡散・定着したことに由来するという。その後、学問的にも一般的にもこの名前が定着していった。

漢字表記には漢名の「蜚蠊」という文字が当てられる。

ごきぶりの最もおぞましい描写としては、森見登美彦の『太陽の塔』がまっさきに挙げられるであろう。


【ごきぶり(上五)】
ごきぶりに飛びつかれむとしたりけり 相生垣瓜人
ごきぶりの世や王もなく臣もなく 本井英
ごきぶりの仮死より覚めて頼りきぬ 佐怒賀正美
ごきぶりのよぎりて穢る視野の端 村上鞆彦
ごきぶりの死や腸をかがやかせ 松本てふこ
ごきぶりの触角をもて考へる 兼城雄

【ごきぶり(中七)】

【ごきぶり(下五)】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【冬の季語】年逝く(年行く)
  2. 【新年の季語】獅子頭
  3. 【冬の季語】鬼やらい
  4. 【冬の季語】十二月
  5. 【夏の季語】夏休(夏休み)
  6. 【冬の季語】寒夕焼
  7. 【春の季語】海市
  8. 【夏の季語】入梅

おすすめ記事

  1. 【秋の季語】団栗
  2. 「パリ子育て俳句さんぽ」【5月14日配信分】
  3. 白魚の目に哀願の二つ三つ 田村葉【季語=白魚(春)】
  4. 左義長のまた一ところ始まりぬ 三木【季語=左義長(新年)】
  5. 「パリ子育て俳句さんぽ」【9月10日配信分】
  6. 【書評】鈴木牛後 第3句集『にれかめる』(角川書店、2017年)
  7. 馴染むとは好きになること味噌雑煮 西村和子【季語=雑煮(新年)】
  8. 紅梅や凍えたる手のおきどころ 竹久夢二【季語=紅梅(春)】
  9. 【春の季語】建国記念の日/建国記念日 建国の日 紀元節
  10. つちふるや自動音声あかるくて 神楽坂リンダ【季語=霾(春)】

Pickup記事

  1. 【新年の季語】初厨
  2. 趣味と写真と、ときどき俳句と【#05】勉強の仕方
  3. 【春の季語】東風
  4. 「野崎海芋のたべる歳時記」パテ・ド・カンパーニュ
  5. 生前の長湯の母を待つ暮春 三橋敏雄【季語=暮春(春)】
  6. 松過ぎの一日二日水の如 川崎展宏【季語=松過ぎ(新年)】
  7. 【冬の季語】返り花(帰り花)
  8. 馬孕む冬からまつの息赤く 粥川青猿【季語=冬からまつ(冬)】
  9. とつぷりと後ろ暮れゐし焚火かな 松本たかし【季語=焚火(冬)】
  10. さよならと梅雨の車窓に指で書く 長谷川素逝【季語=梅雨(夏)】
PAGE TOP