【ミニ解説】
その年はじめて見る蝶々のこと。
「蝶」だけでも春の季語となりますが、「初蝶」というと、春がきざしてくる喜びがいっそう感じられる。
【初蝶(上五)】
初蝶来何色と問ふ黄と答ふ 高濱虚子
初蝶の死してそれより蝶の春 鈴木鷹夫
初蝶の輝く翼受胎告ぐ 有馬朗人
初蝶の舞ふといふより告げ渡る 西村和子
初蝶に息吹きかけて消すといふ 岩淵喜代子
初蝶や死んでゐる木に喰はれたる 鳥居真里子
初蝶のニクロム線の匂ひかな 山口昭男
初蝶や海見るときの海の揺れ 片山一行
初蝶は音なく猫に食はれけり 鈴木牛後
初蝶のはや一蝶をともなへる 村上鞆彦
初蝶やネクタイ固く職を欲る 村上鞆彦
初蝶にぶつかりさうに歩きけり 高浦銘子
【初蝶(中七)】
毎年の初蝶の心細さよ 池田澄子
【初蝶(下五)】
縞馬の縞の中より初蝶来 今井聖
すこし吐きすこし呑む水初蝶来 田中亜美