全長は25-29cmほどの「水鳥」である。「かいつむり」とも。
流れの緩やかな河川、湖沼、湿原などに生息し、ほとんど歩くことはない。
食性は主に動物食で、魚類、昆虫、甲殻類、貝類などを食べるが、巧みに潜水して獲物を捕食する。1回に平均15秒前後(状態により数秒から30秒)潜水するので、潜ってどこから浮かんでくるかを観察しているのは楽しい。
標準和名「カイツブリ」は、水を「掻いて潜る(掻きつ潜りつ)」が転じたか、「カイ」は、たちまちの意で、潜る時の水音が「ツブリ」に転じたとする説が有力。さらに瓢箪のような体の形などから「櫂(かひ)と瓢(つぶる)」との説や、繰り返し頭から潜る「掻き頭潜(つぶ)り」などの説もある。この「かいつぶり」の和名は室町時代以降みられるになった。
古名では「にお」と呼ばれていたため、「鳰」を「かいつぶり」ではなく「にお」と2音で読ませることもある。「におどり」とも。
ちなみに、漢字「鳰」は、「水に入る鳥」を意味する和製漢字である。
「鸊鷉」や「鸊鵜」は、中国の漢字に由来し、「へきてい」と音読みするが、季語としては用いられることは少ない。
【かいつぶり(上五)】
かいつぶりさびしくなればくゞりけり 日野草城
かいつぶり離ればなれはいい関係 山﨑十生
かいつぶり未明のこゑは咲くやうに 中田剛
【かいつぶり(中七)】
【かいつぶり(下五)】
淡海いまも信心の国かいつむり 森澄雄
あひみての後を逆さのかいつぶり 柿本多映
潜きてはだんだん遠し鳰 本井英
潜り際毬と見えたり鳰 中田剛
うしろ向きばかり雨中のかいつぶり 中田剛
水の玉振るひおとせよ鳰 中田剛