【春の季語=晩春(4月)】蝌蚪
お玉杓子のこと。蛙の子。
歴史的仮名遣いだと「くわと」。
【蝌蚪(上五)】
蝌蚪乱れ一大交響楽おこる 野見山朱鳥
蝌蚪の辺に胎児をささぐごとくたつ 佐藤鬼房
蝌蚪生れて月のさざなみ広げたる 峯尾文世
蝌蚪の紐掬ひて掛けむ汝が首に 林雅樹
蝌蚪の水国旗の端を浸しけり 曾根 毅
蝌蚪どもが蓬萊島を押し上ぐる 中島凌雲
【蝌蚪(中七)】
松風に蝌蚪生れたる山田かな 芝不器男
川底に蝌蚪の大国ありにけり 村上鬼城
口笛や沈む木に蝌蚪のりてゐし 田中裕明
【蝌蚪(下五)】
いつぞやら暗しと詠まれ蝌蚪の水 後藤夜半
神の田の一枚ごとに蝌蚪の国 飯田眞理子
あと二回転職をして蝌蚪になる 矢口 晃
方舟に乗り込むための蝌蚪の脚 堀切克洋
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】