季語・歳時記

【秋の季語】秋の蛇

【秋の季語=仲秋(9月)】秋の蛇

秋に見られる「」のこと。

」は春先に冬眠を終えて、春に繁殖期を迎える。

一年でもっとも見られるのは夏であるため、夏の季語とされるが、まだ気温も高い秋にも見ることがある。気温が下がっていくと、少しずつ冬眠の準備に入っていくが、とくにこの時期の蛇のことを「穴惑」ということがある。


【秋の蛇(上五)】
秋の蛇人のごとくに我を見る 山口青邨
秋の蛇銀婚の夫婦おどろかす 山口青邨
秋の蛇一寸逃れ人逃る 津田清子
秋の蛇療園の森遠長し 石田波郷
秋の蛇去れり一行詩のごとく 上田五千石
秋の蛇美しければしばし蹤く 井沢正江
秋の蛇川渡る音だしにけり  皆川盤水
秋の蛇ゐると騒がし女人講  皆川盤水
秋の蛇舌あかあかと押し進む 和田悟朗
秋の蛇蘇我入鹿の野心もて 小林貴子

秋の蛇(中七)】

秋の蛇(下五)】
生々と打殺されて秋の蛇 村上鬼城
牛乳搾る香に迷い出て秋の蛇 中島斌雄
多佳子恋ふ修羅修羅修羅と秋の蛇  八田木枯
真二つに折れて息する秋の蛇 宇多喜代子
母の忌の杉戸を引けば秋の蛇 柿本多映
舌の先美しければ秋の蛇 鷹羽狩行
青空を濁さぬやうに秋の蛇  山尾玉藻
鉤屑くぐりゆくなり秋の蛇 中田剛
秋の蛇追って戻らぬ男かな 森田智子


→ 「穴惑」の例句

→ 「蛇穴に入る」の例句


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