夏の季語

【夏の季語】金魚

観賞用の魚の定番。

昔は「金魚売」といって、街中を売り歩く行商人もいたほどだが、「金魚屋」といえば、いまは「祭」の屋台の「金魚すくい」か、あるいはアクアリウムショップで売られるのが一般的になった。

「出目金」や「蘭鋳」や「オランダ獅子頭」などの種類があり、一般的には「金魚玉」「金魚鉢」にて飼う。


【金魚(上五)】
金魚飼ふこどもあがりの夫婦かな 森川暁水
金魚大鱗夕焼の空の如きあり 松本たかし
金魚すくふ腕にゆらめく水明り 千原草之
金魚は魚だった歓びだけ残す  時実新子
「金魚、金魚」「竿屋」「目立もまゐります」 筑紫磐井 
金魚揺れべつの金魚の現れし  阪西敦子

【金魚(中七)】
いつ死ぬる金魚と知らず美しき   高浜虚子
頸すでに老いて金魚をのぞきこむ 桂信子
留守の家の金魚に部屋の灯を残し 稲畑汀子
見つめをり金魚の言葉分かるまで 伊藤卓也
いつまでも死なぬ金魚と思ひしが 西村麒麟

【金魚(下五)】
もらひ来る茶碗の中の金魚かな 内藤鳴雪
薄氷の裏を舐めては金魚沈む 西東三鬼
路地裏を夜汽車と思ふ金魚かな 攝津幸彦
ゆく船に乗る金魚鉢その金魚 島田牙城
水面に閉ぢ込められてゐる金魚 茅根知子
包まるるティッシュに透けて金魚の死 斉藤志歩



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