前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。
また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」は、7月25日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!
コンゲツノハイク 2025年7月
(2025年6月刊行分)今月の参加結社☞「秋草」「いには」「伊吹嶺」「炎環」「円虹」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「銀化」「銀漢」「澤」「秋麗」「青山」「鷹」「田」「天穹」「都市」「南風」「鳰の子」「noi」「ホトトギス」「街」「雪華」
「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年7月号(通巻187号)>
浚へたる溝にとまどふ水と泥 山口昭男
祀られしもののごとくに蟇 山口遼也
検非違使のかけぬけし道凧 加藤綾那
たんぽぽと自己紹介を考へる 高橋真美
啄木の忌のじれつたき燐寸の火 舘野まひろ
石鹼玉もの問ふ口が吹きにけり 鬼頭孝幸
草むしる片手は草においてをり 小鳥遊五月
「いには」(主宰=村上喜代子)【2005年創刊・千葉県八千代市】
<2025年7月号(通巻202号)>
なにゆゑのわが名喜代子や昭和の日 村上喜代子
ボランティアの上着はみどり花なづな 滝口滋子
山笑ふ喉の小骨が取れにけり 伊東泰子
灯の消えて桜は闇にとけこめり 生野順也
久々に隣人に会ふ花見かな 田中聖子
「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年6月号(通巻324号)>
なけなしの金で買ふ古書宵の春 河原地英武
翁しのぶ七里の渡し朧なる 栗田やすし
自転車で里帰りする春の夢 山本光江
椅子ひとつ置いて湖北の蜆売 加藤剛司
口開けの旗担ぎ来る潮干番 市川あづき
啓蟄や分別かごに貯金箱 朝倉淳一
公園のパンジーだけの花時計 立川まさ子
「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2025年6月号(通巻540号)>
おぼろおぼろ半死半生にて候 石寒太
縄跳びの宙きる音や犬ふぐり 平井葵
いつとうの黄蝶この世をはぐらかし 百瀬一兎
どのつらをさげてつらつら椿かな 市ノ瀬遙
言の葉を失くせし妻の花見かな 谷村鯛夢
あたらしき住所短しつばくらめ このはる紗耶
閉業の学士会館サクラサク 鮫島沙女
「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和7年7月号 第367号>
山桜散り初めてより絶え間なく 福元成子
神将の眉ゆるびたる春の闇 榧野 実
戻らんとして回りつつ花筏 今井徹
代々の子猫の名前チャッピーで 岡本やすし
三叉路の日永の手押し車かな 乾沙織
をさなごの見せ合ふは何れんげ畑 山下香澄
風の来て蛙のまなこ半開き 山村常子
「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年6月号(第69号)>
立ち読みの背中水鳥浮かんでる 室田洋子
草萌や速度を緩めてもいいか 向井麻代
梅はまだ最上階は空家らしい 峰尾大介
柳絮飛ぶひとりがいっぱいの窓へ ナカムラ薫
大根を入れる余地あり旅鞄 こしのゆみこ
飛込台は三歩ほどらし春の雲 石鎚優
恨むほどの心持ち得ず山葵漬 有栖川蘭子
「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年6月号(通巻1025号)>
恋猫の声まとひつく夜干しの手 山尾玉藻
紅梅の一樹に足りし日曜日 大山文子
遠足のつつかへてゐる地獄絵図 蘭定かず子
海鳴りの色を取り出し焼栄螺 五島節子
みなちがふ風を見てゐる花吹雪 するきいつこ
キャタピラが芽吹く木のかざ均しゆく 坂口夫佐子
千年のとほくてちかき野焼かな 小林成子
「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年6月号(通巻1146号)>
置屋バーてふを訪ひたり春の宵 森田純一郎
送水会神事仏事の隔てなく 平田冬か
一線のラインダンスや流氷来 村手圭子
手に取ればかくも軽しや牡丹榾 坂口恵子
春の土仄かに貝の匂ひけり 月森こはぎ
芸終へし猿四つ足にすぐ戻る 広田祝世
クリオネのはばたくやうに春を待つ 斎藤利明
「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<第54巻第7号(通巻584号)>
集まって知恵の出ぬまま蝌蚪の池 粥川 青猿
売れ筋は生身に羽織る春の風 江波戸 明
命数は大きな振り子達磨層 鎌田 文子
昭和百年見るものは見し桜在り 山田 倫一郎
晩春の雲垂れ込める燐家の喪 石森 スエ子
鉛筆の芯の太さよ昭和の日 道下 いずみ
爺ちゃんと呼ばれたような蕗の薹 飯沼 絃一
「銀漢」(主宰=伊藤伊那男)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年6月号(通巻174号)>
歳月は錆の深さに鞦韆は 伊藤伊那男
田楽の串太々と伊賀の国 中島凌雲
さざ波のいにしへゆかし人丸忌 中山桐里
霾や水城のそなへ杳として 橋野幸彦
羽化を待つ乙女の食める春キャベツ 橋野幸彦
火の記憶あるかに立てり牡丹の芽 飛鳥蘭
夜桜の途切れ濁世に戻り行く 川島紬
「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年7月号(通巻322号)>
をとこ来て煙草を吹かす余り苗 大嶋康弘
鶯の中学生のやうな顔 彌榮浩樹
吾が軍は雀の鉄砲にて臨む 丘のぼる
重心のおきどころなく藤垂るる 川本利範
春の星宇宙に伸びゆく巨石群 小野日奈多
都電より面影橋の桜かな 石川小鳥
祝婚歌唄へばどつと花吹雪 田中博美
「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2025年6月号(通算408号)>
菜園に黄の蝶の舞ふ虚子忌かな 井村 啓子
妻の歩に力戻れり春の風 うすい明笛
日に添ひて花綵列島花盛り 香椎みつゑ
のんどりと売れ残りたる陶狸 河原 まき
カルデラに方便の春菜青青と 福長 まり
のんどりとポルシェに譲る車線かな 中村ちづる
山祇の注連に木の鎌こぶし咲く 小林伊久子
「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年6月号(通巻303号)>
ビール飲まずば一日終はらずと君は 小澤實
落椿赤色赤光浄土なす 相澤亮平
がざみの鋏に指はさませて捕る叔父よ 戸田いぬふぐり
名札返す帰寮の友や春の雪 山下希記
つちふるや剝きし卵に小さき傷 酒井拓夢
天草や朝日映えたる桜鯛 松井広文
ローンまだ続く墓とふ彼岸道 竹村さぎり
「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年6月号(通巻177号)>
明易し硯にのこる墨乾き 藤田直子
花の山蔵王権現踏みしかる 塚原涼一
虚子句碑に手を触れて見る桜かな 篠田たけし
レガッタの漕ぐ手を止めてなほ速し 永井邦彦
初蝶の松盆栽を祝ぎて舞ふ 佐藤俊和
藤祭砂利に裸足の太鼓打ち 林海邦
子の指の影絵の小鳥花の雨 頼広節子
「青山」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年5月号(通巻511号)>
百千の螢飛び交ふ中にあり 山崎ひさを
列柱に燈のただよへる夜のプール しなだしん
秋冷の動かぬ雲のひかりかな 井越芳子
お玉杓子きらきらきらと進みけり 水谷由美子
二周目よりキャンター乗りや春の風 東畑孝子
本山の裾の寺町梅を干す 坂東文子
公魚の宙を舞ひつつ釣り上がる ローバック恵子
「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年7月号>
樹齢 千五百年なる若葉風 小川軽舟
塊割に飛びたる小石山桜 宮木登美江
月光に五代の墓や老桜 鳥海壮六
昭和の日しやもじに飯がくつつき 阿部千保子
天に順ふ桜の咲くも我が散るも 千乃じゆん
春闘で知り合ひし妻貧なげく 瀬下坐髙
ひとりが楽春風耳打のごとく 田上比呂美
「橘」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2025年7月号(通巻571号)>
ふる里のとんがり山や土筆摘む 吉田孝子
石けりの丸書く子等や桜舞ふ 飯野歌子
山裾に星吹き寄せて花りんご 栗原ヒサエ
浮野へと続く小径や土筆摘む 田島公樹
軒低き下駄屋の玻璃戸風光る 菅原善子
三日後に会ふ約束をしてチューリップ 野口久美子
蛙止む少し遅れて夜汽車来る 今田和生
「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2025年6-7月号(通巻260号)>
椿落ちて地上の花となりにけり 清水余人
マッチ箱のやうな客車を春野まで 仲 栄司
重なりて青空隠す桜かな 佐藤千恵子
夕東風の竹を出てくる鈴の音 草子洗
竜巻の掠める夜のヒヤシンス フォーサー涼夏
鶯の時に失敗してをりぬ 目黒美保子
押されては斜めに笑ふチューリップ 古庄優子
「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年7月号(通巻329号)>
衣更へて羽化したるかに少女たち 米田由美子
仔馬立つあやつり人形動くかに 渡辺花穂
しやぼん玉さん信号は赤ですよ 髙橋ゆうじ
頬杖のことりと折れて遅日かな 坂口明子
亀鳴くや百から七を引く検査 鴨川瑞音
一瞬に「つ」の字「し」の字や白魚鍋 白木伸子
俳誌より切り取るレシピ若布和 小川としゆき
「都市」(主宰=中西夕紀)【2008年創刊・東京都町田市】
<2025年6月号(通巻105号)>
再会の人は名を変へ昭和の日 中西夕紀
紅椿羽ばたくやうに頁開き 北杜 青
松風の素襖を透かす能始 本多 燐
あたたかや亀の時間にひき込まれ 島田遊妹
正月は朝日主役となる時ぞ 長谷川積
空一枚めくりたくなる余寒かな 大木満里
大阿蘇の野焼よ大地舐むる火よ 下村あや香
「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年7月号(通巻980号)>
大仏の息に吹かれて四月かな 郡山文惠
春愁をあらくさとゐる岸辺かな 板倉ケンタ
飴玉のいま溶け終はる桜かな 市原みお
初蝶に出会ひし径をもどりけり 佐々木千賀子
猪垣の破れを蝶の通りけり 横田朱鷺子
あをあをと馬糞濡れたる春岬 帯谷到子
こどもから大人となつて梅酒のむ 藤野悦耳
「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2025年6月・7月号(通巻72号)>
幼子が吹いて金色しゃぼん玉 柴田多鶴子
母そばに居るかに香る蓬餅 松本美佐子
苗札に赤クレヨンの小さき文字 永野壽一
紅梅や小さき包みのチョコギフト 廣瀬正樹
ふらここを降りて大人に戻りけり 長野順子
愛の日の余白大きなチョコの箱 島田由加
あやふやな手順楽しみ雛飾る 板倉眞知子
「noi」(代表=神野紗希・野口る理)【2025年創刊】
<2025年6月号(通巻2号)>
譜に雨のわだち山吹連なれる 弓木あき
膝突きて星編む三月の巨人 永山智郎
コート脱ぎつつ三階席つくづく急 友定洸太
大干潟天使おびただしく跼む 山月 恍
自分史に保健室あり桜貝 檜野 美果子
ちょっと傘持ってて苔にこんな花 斎藤よひら
って言うけどさ春になったら帰るくせに 三浦にゃじろう
「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年7月号(通巻1543号)>
トンネルを抜け青田抜けトンネルへ 稲畑廣太郎
こんなにも晴れ春寒の底の底 涌羅由美
梅林の風止みてより濃き香り 酒井湧水
餞別に貰ふ糠床春の月 相沢文子
授かりぬ吾子てふ未来秋桜 奥村里
気掛りは息子のバレンタインデー 中村恵美
日が暮れて急に淋しく春浅し 野末トヨ
「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年6月号>
八ミリの音の中なる父母と藤 今井聖
啓蟄や下北沢のメガネ率 太田うさぎ
鼈の甲羅つるつる春の月 黒岩徳将
立つて吸ふ春夕焼もマルボロも 西生ゆかり
春陰の和室洋間に薄く段 髙勢祥子
霾や遺骨に残る耳の穴 蜂谷一人
花見上ぐ切腹前のやうな目で 竹内宗一郎
「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年7月号>
いのちある側に目覚むる明易し 橋本喜夫
巣箱懸け覗かぬ日々を夢といふ 鈴木牛後
抜殻に朧を詰めて出勤す 星伸昭
人はみな裏側見せて潮干狩 小泉晃治
駆けくだる花の謀反を持てあまし 五十嵐秀彦
仏間より身を投げ仰ぐ夕ざくら 西川良子
余花の雨傘の袋が見当たらぬ 藤原ハルミ
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年7月25日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年7月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年7月30日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年7月30日
*対象は原則として2025年7月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください。
◆配信予定=2025年8月5日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/