【夏の季語=三夏(5月〜7月)】麦茶/麦湯
芭蕉が生きていた時代に出版されたグルメガイド「本朝食鑑」には、「当今、生麦を香ばしく炒り、麨(むぎこがし)を磨き、篩にかけて粉末にし、夏月、冷水を飲むとき、これを加えて練って服用している。砂糖を和して食べることもある」とあります。
これが広まり、江戸末期には茶店で「麦湯」として親しまれていたようですが、今ではすっかりこちらの言葉は廃れてしまいました。
【麦茶】
麦湯煮て母訪はぬ悔かさねをり 小林康治
冷えてゐる麦茶遅刻をとがめざる 依田明倫
どちらかと言へば麦茶の有難く 稲畑汀子
よき音の氷を浮かべ麦茶かな 長谷川櫂
大薬罐麦茶の熱き麦を出す 守屋明俊
【麦湯】
ひやくひろを通る音ある麦湯かな 高濱虚子
壜に入れて麦湯冷やすや水の中 星野麥丘人