夏の季語

【夏の季語】緑蔭

【夏の季語=初夏(5月)】緑蔭

【ミニ解説】緑蔭は「緑が茂った木陰」のこと。暑くなってきた時期だからこその心地よさ。漢字は緑「陰」ではなく緑「蔭」なので注意しましょう。

【関連季語】五月、初夏、若葉、新樹、新緑、青葉、木下闇など。


【緑蔭(上五)】
緑蔭に眼帯の娘をけふも見し 西島麦南
緑蔭に黒猫の目のかつと金 川端茅舎
緑蔭に三人の老婆わらへりき 西東三鬼
緑蔭のわが入るときに動くなり 永田耕衣
緑蔭のあらし海浪にあるおもひ 山口誓子
緑蔭の壁に三味線演劇研究会 山口青邨
緑蔭に染まるばかりに歩くなり 星野立子
緑蔭に蟻の一日ながかりき 桂信子
緑陰より海ヘチーズ色の踵入れ 赤尾兜子
緑蔭へ消毒薬のうすき匂ひ 大野林火
緑蔭の道も爪先上りなる 清崎敏郎
緑蔭に入りて父母よりの風 野澤節子
緑蔭に 明日ある君らの素手 素足 伊丹三樹彦
緑蔭といふ裏側を愛しけり 岡本眸
緑蔭に釦を一つづつはづす 鷹羽狩行
緑蔭の斑は母子像の母にさす 鷹羽狩行
緑蔭の日の斑や曲を踏むごとく 鷹羽狩行
緑蔭の乞食のごとき眠り欲し 鷹羽狩行
緑蔭の広さは人の散る広さ 稲畑汀子
緑蔭の木洩日として暗からず 稲畑汀子
緑蔭を大きな部屋として使ふ 岩渕喜代子
緑蔭の続きのやうな書庫に入る 岩淵喜代子
緑蔭の日の斑を踏めば貝の音 岩渕喜代子
緑蔭や嬰の靴下の先あまる 対中いづみ
緑蔭や人待ち顔の少女ゐて 小助川駒介

【緑蔭(中七)】
おほみゆきかしこ緑蔭むかひあふ 森川暁水
床几ありはや緑蔭の如くにて 山口誓子
どこまでも緑蔭づたひここに来ぬ 山口青邨
おほらかに緑蔭の外の照り昃り 波多野爽波
雨荒れて緑蔭の椅子部屋にある 橋本多佳子
髪につく蟻緑蔭も憩はれず 橋本多佳子
胸明りして緑蔭の旅の翳 鷲谷七菜子
若木はや生む緑蔭の揺れやすし 鷲谷七菜子
街病めば緑蔭もまた病みにけり 後藤比奈夫
やおら起つ緑蔭老人 笑み忘れず 伊丹三樹彦
本につく蟻緑蔭に白樺派 鷹羽狩行
脂ぎる緑蔭ホット・ドッグ食べ 鷹羽狩行
どこまでもただ緑蔭のずぶ濡れに 廣瀬直人

【緑蔭(下五)】
ドンキホテ乗りすてし車緑蔭に 山口青邨
チンドン屋前後の荷解き緑蔭ヘ 中村草田男
目つむれば睡魔ふとくる緑蔭に 稲畑汀子

【大緑蔭】
大緑蔭なして樹の名の個々あらず 上田五千石
大緑蔭どこかで君に逢へるかも 林翔
北京の大緑蔭に歩み入る 山田みづえ


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