【秋の季語=三秋(8月-10月)】芒(薄)
すすき。中秋の名月の供え物としても使用される、代表的な秋の植物。
「秋の七草」の一つでもある。馬などの尾に似ていることから、「尾花」ともいう。
夏の暑い盛りに青々とした葉を育てていくが、これは「青芒」という夏の季語でいいあらわされる。
また、冬になってほほけてきた芒を「枯芒」または「枯尾花」と呼ぶ(冬の季語)。
芒の句では、飯田蛇笏の
をりとりてはらりとおもきすすきかな
が群を抜いて有名か。
【芒(上五)】
金の芒はるかなる母の禱りをり 石田波郷
【芒(中七)】
萩にふり芒にそそぐ雨とこそ 久保田万太郎
目のなかに芒原あり森賀まり 田中裕明
【芒(下五)】
ワガハイノカイミヨウモナキススキカナ 高浜虚子
こみあげて母打擲す芒かな 八田木枯
日の匂ひして生けらるるすすきかな 高田正子
顔ちがふやうにも見えて芒原 森賀まり
残像のぶつかり合える芒かな 杉浦圭祐
鎌倉に線路はなじみ花芒 金原知典