
【春の季語=晩春(4月)】勿忘草

わすれなぐさ。ヨーロッパ原産で、日本に渡来したのは、明治時代に園芸業者がノハラワスレナグサ (M. alpestris) を輸入したのが最初と言われている。ワスレナグサは英名で「Forget me not」といい、これを直訳し勿忘草と呼ばれるようになった。なお、ワスレナグサ属では、日本には元来、エゾムラサキ (M. sylvatica) 一種が自生分布している。「忘れな草」と表記することもある。
【勿忘草(上五)】
勿忘草いよいよ口を閉ぢて病む 石田波郷
忘れな草冷ゆるラファエルの石棺に 小池文子
勿忘草人は恋にも死ににけり 林 翔
勿忘草軍属多き島の墓 小野寺一砂
勿忘草ながい苗字を傘に書き 榎本佳歩
【勿忘草(中七)】
雨晴れて忘れな草に仲直り 杉田久女
小さう咲いて勿忘草や妹が許 村上鬼城
バイカルの勿忘草に空高し 依田明倫
わすられぬやうに勿忘草ひらく 鷹羽狩行
すぐ横を勿忘草の水流れ 佐々木六戈
アンカレッジ經由勿忘草摘んで 猫髭
【勿忘草(下五)】
奏でる海へ音なく大河勿忘草 中村草田男